「知識とか価値観とか、基準を変えていかないといけない」
「こういう相手にも絶対にできると思うし、自分たちはできる自信を持っていた」と斉藤光毅はスペインに敗れた直後に言っていた。選手たちは本気で金メダルを狙っていた。だからこそ、小久保玲央ブライアンは、藤田譲瑠チマは、試合終了後にピッチで悔し涙を流した。
それでも、両者には実力差があった。斉藤はU-23パラグアイ代表との初戦で2アシストを記録したが、その試合の出来には「全然満足していない」と答えている。前半に相手が10人になったこともあるが、グループステージで対戦した3チームはメダルを狙えるチームではなかった。
金メダルを取るには、U-23フランス代表やU-23スペイン代表を倒さなければならない。エールディビジのスパルタ・ロッテルダムで2シーズンプレーした斉藤は、このチームの中で彼らに最も近いレベルの日常を過ごしていると言っていいだろう。
「1人ひとりがより上のステージに行って、そういう球際とか、サッカー知識とか、サッカーの価値観とか、そういう基準を変えていかないといけない」
斉藤は個の能力を高めていかないと、「世界大会では絶対に勝てない」と唇をかんだ。U-23スペイン代表のメンバー表を見ると、上からそうそうたるクラブが並ぶ。パリ・サンジェルマン、アルメリア、レアル・ベティス、ジローナ、バルセロナ、アトレティコ・マドリード……。日常のレベルの差が、非日常の大舞台で現れたということもできる。
U-23スペイン代表の1点目はスーパーゴールだったのか。それも、基準をどこに置くかによって変わってくる。