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これが限界だった。なでしこジャパンに突き付けられた現実「カウンターだけでは成長できない」【パリ五輪現地コラム】

text by 編集部 photo by JMPA

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 なでしこジャパンは現地時間3日、パリ五輪(パリオリンピック)準々決勝でアメリカ合衆国女子代表と対戦し、延長戦の末に0-1で敗れた。前回大会と同じベスト8という結果に終わった今大会を、現地で残した選手たちの言葉から総括する。今回は後編。(取材・文:加藤健一【フランス】)

なでしこジャパンを襲った想定外

なでしこジャパンの長谷川唯と長野風花

【写真:JMPA代表撮影】

「怪我、体調不良、いろんな要因があって、このタフな中2日の試合の中でいろんな要素がチームマネジメントをするうえでありました」(池田太監督)


 元々、ウイングバックを主戦場とする選手は清水と北川、そしてバックアップメンバーの守屋都弥だけだった。そして、2月に遠藤純が左膝前十字靭帯を損傷して五輪出場を断念したことも響いた。

 本メンバー18人と4人のバックアップメンバーを構成するうえで、どこかのポジションは本職の選手を少なく見積もらないといけなくなる。試合の交代カードを考えたときに攻撃的なカードは残しておきたいし、CBを本職とする選手はなかなか替えが利かない。ウイングバックの層が薄くなるのは避けられず、清家貴子や宮澤ひなたらがこのポジションのオプションとして当初から考えられていた。

 ロンドン五輪でチームを銀メダル獲得に導いた佐々木則夫技術委員長もその難しさに触れ、池田監督が率いたチームを次のように評価している。

「故障者がやはり多くて、非常に現場としては台所事情が厳しい状況の中、現場は本当にチーム戦術をカスタムしながらよくやってくれた。選手たちもギリギリのところでピッチに立っていて、よくやってくれた。(池田監督は)非常に選手たちを掌握し、ピッチ内外でよくやってくれた。この状況下でもやりくりしながら、メンバー交代も含めて良くやってくれた」

 なでしこジャパンにとってアメリカは、決して勝てない相手ではなかった。それでも、満身創痍のなでしこジャパンにとってはこれが限界だった。たしかにプレータイムはシェアしていたが、コンディションが万全でない選手も多く、清水という替えの利かない選手の不在も大きなダメージとなっていた。

 佐々木委員長は今大会においてはこの戦い方が最善だったと言いながら、今後の課題にも触れた。

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