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明治安田J1リーグの2024シーズンも残すは14節。浦和レッズは4位だった昨季から監督が変わったが、順位という点では下がっている。前政権からの文脈の中で、浦和は何を目指し、現政権はどのような変化を見せているのか。理想と現実の狭間で見せる浦和の現在地を、前後編に分けて明らかにする。(文:らいかーると)
著者プロフィール:らいかーると
1982年、浦和出身。とあるサッカーチームの監督。サッカー戦術分析ブログ「サッカーの面白い戦術分析を心がけます」主宰。海外サッカー、Jリーグ、日本代表戦など幅広い試合を取り上げ、ユニークな語り口で試合を分析する人気ブロガー。著書に『アナリシス・アイ ~サッカーの面白い戦術分析の方法、教えます~』『森保JAPAN戦術レポート 大国撃破へのシナリオとベスト8の壁に挑んだ記録』がある。
スコルジャ時代の違和感と浦和レッズの現在地
昨年の浦和レッズは、4位で明治安田J1リーグを終えた。宿願であったAFCチャンピオンズリーグを制し、FIFAクラブワールドカップでマンチェスター・シティとの邂逅を果たしたという意味では、成功のシーズンと言えるかもしれない。
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マチェイ・スコルジャに率いられた昨季の浦和は、[4-4-2]のゾーンディフェンスをメインとしていた。ベストイレブンにDFのマリウス・ホイブラーテン、アレクサンダー・ショルツ、GKの西川周作が選ばれたように、その守備が各方面からも評価されていたことは明らかだろう。
一方で得点は42と、順位のわりには寂しい印象を与えた。上位にいるヴィッセル神戸と横浜F・マリノスが60得点をこえているように、これ以上の順位を求めるうえでの課題が得点数であることは明白であった。
スコルジャ時代のサッカーにひとつだけ違和感があったことを告白しておきたい。その違和感はボールを「必要以上に」大事にする姿勢だ。[4-4-2]のゾーンディフェンスを中心とするチームでもボールを大事にすることは決して珍しいことではない。大切なことはボールを保持することで浦和にメリットが有るかどうかだ。決して機能的ではない浦和のボール保持への羨望は、目の前の試合よりも大事なことを隠しているのではないかと感じさせるほどであった。
それは一部界隈で物議を醸し出した岩尾憲がセンターバックの間に降りるプレーをひとつの証拠として、ボールを蹴っ飛ばして相手のボールにしてプレッシングの準備を万端にする王道よりも、自分たちのボール保持で主導権を握ろうとしているように見えた。浦和のボール保持は、自分たちもボールを保持する時間が必要だよねと主張しているようにも見えず、大きな意思によって実行しているようにすら感じた。
すったもんだがあり、今季はペア・マティアス・ヘグモ監督が就任した。攻撃的な選手を補強し、ボールを保持する姿勢を全面に押し出したスタイルで、昨年の得点数を超えることは間違いないだろう(24試合終了時点で39得点)。得点数と比例する形で失点数が増えていることで、今季の浦和は安定的な結果を手に入れることができていない。そんな浦和の現在地について今日はみんなで考えていきたい。