「結局メダルを獲得できなかったけど」
【写真:Getty Images】
――試合終了です…
「非常に残念です」
――悔しい敗戦になりました。試合を振り返っていただけますでしょうか。
「アメリカがボールを保持する時間が長かったけど、なでしこにもチャンスはあったと思います。最後の最後のところで疲れが出た時に、アメリカはワンチャンスを生かしました」
――チャンスを決めきれなかったのが勝敗を分けたポイントということですね。
「その通りです。ゴール前に(トリニティ・)ロッドマンのような冷静さがあれば、今日の日本は勝てたと思います」
――ロッドマンはお父さん(デニス・ロッドマン)と同じく強烈な個がありましたね。
「そうだね。お父さんと同じく髪の毛もすごいですね!」
――今回のなでしこは大会通じていかがでしたか?
「男子と同じく結局メダルを獲得できなかったけど、今後のポテンシャルは示したと思います。この世代は本当に期待できます」
――守備は今大会通して安定していたと思います。3試合で複数失点は1回です。しかし今日のアメリカ戦も含め、攻撃面には課題というところでしょうか。
「少し課題がありますね。長谷川と長野(風花)はあまりチャンスメイクできなかったです。今大会はスーパーゴールが多かったので、もう少し流れの中からの得点が必要だと思います。でも田中以外のFWは若いから今後の成長には期待できます」
――確かに今大会のなでしこはスーパーなゴールが多かったですね。
「ユーロ2024のイングランド代表もそうだった!」
――イングランド代表もそうでしたね。チームとしてのまとまりはなでしこの方がありそうですが…
「その通りです!」
――今大会印象的だった選手はいましたか?
「古賀は非常に良かったと思います。藤野も浜野もポテンシャルを示しました」
――古賀は具体的にどんなところが良かったですか?
「常に正しいポジショニングができていました。ゲームの読み方や判断力も本当に良いです」
――若いですけど堂々としていましたね。パリ五輪を経験できたのは大きいのではないでしょうか。
「そうですね。なでしこはメダルを獲れなかったけど、この大会は本当に良い経験になったと思います。今後の成長につながると思います」
――ただ、なでしこはここ最近、国際大会での苦戦が続いています。昨日の男子もそうでしたが、接戦になった時に強烈な個で違いを生み出せる選手の出現は、今後必要になってきますか?
「その選手はこのなでしこ世代にいると思います。五輪で素晴らしいプレーを見せた選手が何人かいました。残念ですが今日はチャンスを活かせなかった」
――藤野や浜野がその筆頭ですかね。
「そうですね。古賀もそうです」
――最後になりますが、今後のなでしこに期待したいことを教えてください。
「今日は負けてしまいましたが、非常に良いパフォーマンスを見せてくれました。細かいところで負けましたが、違う日に日本が勝つ可能性は十分にあります。だから、下向きになる必要はまったくありません。今後は本当に期待ができると思うので、その成長を楽しみにしています」
――ありがとうございました!
▽語り手:ショーン・キャロル
1985年イングランド生まれ。2009年に来日。『ニッポンとサッカー 英国人記者の取材録』『英国人から見た日本サッカー “摩訶不思議”ニッポンの蹴球文化』の筆者。「Jリーグ Monthly」のレギュラー出演。高校サッカー、Jリーグ、日本代表など幅広く取材している。過去にはスカパーやNHK、J SportsなどのJリーグ番組出演も。
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