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日本代表 2か月前

傑出した存在がいない。サッカーU-23日本代表が露呈した限界。スペインにはフェルミン・ロペスがいた【パリ五輪/西部の目】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

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サッカーU-23日本代表は現地時間2日、パリ五輪(パリオリンピック)2024・男子サッカー競技の準々決勝でU-23スペイン代表と対戦し、0-3で敗北。メダル獲得の希望は潰えた。内容はスコアほど差があったわけではないが、大岩剛監督率いるチームは限界を露呈してしまったのかもしれない。(文:西部謙司)

▽著者プロフィール:西部謙司

1962年9月27日生まれ、東京都出身。学研『ストライカー』の編集記者を経て、02年からフリーランスとして活動。95年から98年までパリに在住し、ヨーロッパサッカーを中心に取材。現在は千葉市に住み、ジェフ千葉のファンを自認し、WEBスポーツナビゲションでは「犬の生活」を連載中。サッカーダイジェスト、フットボリスタなどにコラムを執筆中。『ちょいテク 超一流プレーヤーから学ぶちょっとスペシャルなワザ』監修(カンゼン)、「サッカー右翼サッカー左翼」(カンゼン、)近著に『戦術リストランテⅣ』(ソル・メディア)、「ゴールへのルート」(Gakken) 、共著の『サッカー日本代表の戦術が誰でも簡単に分かるようになる本』(マイナビ)、『FCバルセロナ』(ちくま新書)がある。

スペインにはフェルミン・ロペスがいた

U-23スペイン代表のフェルミン・ロペス
【写真:Getty Images】

 0-3の完敗スコアだったが、内容的にそこまでの差は感じない試合だった。U-23スペイン代表がもっとボールを支配する展開を予想していたが、U-23日本代表の攻守がそれを許さなかった。


 11分の先制後にスペインがやや受けに回った感はあるが、日本も落ち着いてキープして攻め込み、高い位置のプレッシングでボールを奪うことも何度かできていた。互角まではいかないまでも、接戦に持ち込めるだけの力は示していた。

 スコアが開いたのはフェルミン・ロペスの存在が大きい。

 スペインのメディアから傑出した選手がいないと評されたとおり、日本にはフェルミン・ロペスに対抗できるタレントはいなかった。フェルミン・ロペスは先制点と2点目をゲットしてチームをリード。日本のプレスがはまった状態から股抜きで外して打開するなど、随所に格の違いを示していた。逆に言えば、日本にとって脅威だったのは彼だけで、もしフェルミン・ロペスがいなければまた違った内容、結果になっていたかもしれない。

 この試合に関しては飛びぬけた存在がいないことが差になったわけだが、それまではそうした選手がいないのはむしろプラスに働いていた。高いレベルで粒が揃っていることで、いわゆる目が揃った状態を作りやすく、誰がプレーしても一定のレベルをキープできる総合力は日本の長所だったわけだ。

 内容的にスペインを相手に競った試合ができたのはその効果だった。一方で、点差を開けられ完敗となったのは、チーム編成の限界を露呈したともいえる。

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