「日本サッカーは…」

――試合終了です…。改めてこの試合を振り返ってもらえますか。

「日本は前半も後半も立ち上がりがあまり良くなかったけど、それ以外は本当にいいパフォーマンスを見せました」

――残念ながら準々決勝での敗退になりましたが、今大会のU-23日本代表はいかがでしたか？

「良い時も良くない時もありましたが、選手は非常にいい経験をしたと思います。今日の試合も、課題も収穫もあったし、選手は今後に生かしてほしいです」

――ショーンさんの中でとくに今大会、印象に残った選手はいましたか？

「今日は少し静かだったけど、藤田は本当にトップレベルにいけると思います。小久保も高井も今後のキャリアは楽しみです。今日は言い訳ができませんが、細谷のゴール取り消しの判定は本当に大きかったです。でも、日本の選手は本当にいい戦いを見せて、これ以上はできなかったと思います。フェアじゃないけど、サッカーでは100%を出した時でも、負けが相応しい結果じゃない時でも、勝てないことがあります。この世代は本当に今後期待できると思います！」

――メダル獲得の希望は無くなりましたが、選手にとっては、ここからA代表への定着、その後のワールドカップ出場という目標が続きますね。

「そうですね。こういう大会では運ももちろんあります。この段階でスペインと戦うのは不運です。主審の判定も不運です。けれども、選手はそのチャレンジに立ち向かういい姿勢を見せました。今日はもちろん勝ちたかった、この大会でメダルを獲りたかったけど、サッカーでも人生でもここからが最も大事です！」

――主審の判定に関しては一旦置いて、やはりスペインの技術力は高かったと思います。ここはまだまだ差があるでしょうか。

「正直に言うと、そんなにないと思います。そのギャップはどんどん縮まっています。今日のスタッツはまだ見ていないけど、ほぼ同じだと思います。差があるのはゴールをどれだけ決めたか、決めなかっただけじゃないかな」

――しかし、これで五輪では2大会連続でスペインに敗れてしまいました。あと少しの差だとしても、ここはどう縮めていくべきでしょうか。

「確かに2大会連続ですが、メンバーも全く違うし、その間にA代表はワールドカップでスペインを倒しました。もちろんスペインはまだ日本の上にいると思いますが、それはほとんどの国に言えることです。日本は押し込まれなくて、本当に細かいところで負けた (今日も東京五輪でも) のは、日本サッカーにとって非常にポジティブだと思います。

　今日の日本の負け方とユーロ2024決勝戦のイングランドの負け方は真逆だと思います。今日のスペインは色々なピンチがありました。ユーロの決勝戦では全くなかった。日本サッカーは正しい道に向かっていると思います」

――本日もありがとうございました！

▽語り手：ショーン・キャロル
1985年イングランド生まれ。2009年に来日。『ニッポンとサッカー　英国人記者の取材録』『英国人から見た日本サッカー　“摩訶不思議”ニッポンの蹴球文化』の筆者。「Jリーグ Monthly」のレギュラー出演。高校サッカー、Jリーグ、日本代表など幅広く取材している。過去にはスカパーやNHK、J SportsなどのJリーグ番組出演も。