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【パリ五輪現地コラム】サッカーU-23日本代表を支えるバックアップメンバーの表と裏。彼らが抱える思いと葛藤

シリーズ:コラム text by 加藤健一 photo by Getty Images

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 サッカーU-23日本代表は現地時間30日、パリ五輪(パリオリンピック)グループリーグ第3節でU-23イスラエル代表と対戦し、1-0で勝利を収めた。第3節で躍動したのは当初18人の本メンバーから外れた選手たち。なかなか出番が回ってこない彼らは葛藤を抱えながら、それでもチームのためにプレーしていた。(取材・文:加藤健一)


「この試合の意味を理解していた」サッカーU-23日本代表がこの試合に臨む姿勢

鈴木海音
【写真:Getty Images】

 第2節を終えてグループリーグ突破、そして1位通過も事実上ほぼ確定させていたU-23日本代表は、3試合目で大きくメンバーを替えてきた。すでにイエローカードをもらっている藤田譲瑠チマや高井幸大らをベンチに置くとともに、鈴木海音、内野貴史といった初出場の選手を抜擢し、川﨑颯太や佐藤恵允を先発で起用した。

 観ている側からしてみると、退屈な側面も否めない。試合終盤はそれを示唆するように会場でウェーブが起きていた。「選手たちは本当にこの試合の意味を理解した上でプレーしてくれたので、すごく評価したい」と大岩剛監督が振り返るように、選手たちは過度に消耗する展開を避けながらも、自分たちのスタイルを崩さないような最低限のゲームマネジメントをしていた。

 数字上は大量点差をつけられさえしなければ「負けてもいい試合」だが、現場の意見は異なる。内野も「こういうチャンスが来たときに、負けてもいいなんて答えはちょっとも持っていなかった。むしろ勝たないと次はないと思っていた」と話す。

 さらに、決勝点をアシストした佐藤が「初先発ということですごく気合がはいっていたし、入りのところからゴリゴリ前に仕掛けるのを意識していた」と話せば、鈴木は「試合前から全員がやってやろうという気持ちはあったと思うし、そういう声も試合前からすごく出ていた」と言っていた。

 鈴木は大会直前に、バックアップメンバーから正式メンバーに繰り上がった。離脱した半田陸は、世代別の日本代表で長年に渡ってともにプレーしてきた仲間だった。

 さかのぼること5年。2019年に行われたFIFA U-17ワールドカップで、両者はU-17日本代表のセンターバックでコンビを組んでいた。U-17日本代表はグループステージ突破を決めたものの、ラウンド16を半田陸は怪我のため欠場。半田に代わってキャプテンマークを巻いた鈴木は、この試合に勝利して半田の復帰を待ちたかったが、U-17メキシコ代表に0-2で敗れている。当時のことを振り返り、鈴木はこう話す。

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