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【パリ五輪現地情報】「やばいかな…」なでしこジャパン北川ひかるが抱いた不安と焦り。美しいFK弾を生んだ長谷川唯の言葉

text by 編集部 photo by JMPA

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なでしこジャパンMF北川ひかる
【写真:JMPA代表撮影】


復帰した北川ひかるが決めた直接FK

 なでしこジャパンは現地時間7月31日、パリ五輪(パリオリンピック)グループリーグ第3節でナイジェリア女子代表と対戦し、3-1で勝利してグループリーグ突破を決めた。今大会初出場となった北川ひかるは、直接FKをゴールに叩き込み、勝利を決定的なものにする3点目を決めている。

 前半アディショナルタイムに田中美南がファウルを受け、ゴール正面で得たFKのチャンス。ボールの近くには長谷川唯と北川ひかるが立っていた。北川は「唯さんの方がうまいんで任せたかったんですけど、『蹴ってみれば?』って言われた」と明かす。FKの練習はほとんどしていなかったというが、北川の左足から放たれたキックは鋭く曲がり、ゴール左隅に突き刺さった。

 42分に失点し、リードを1点に縮められていたなでしこジャパンにとって大きな1点となった。精度の高い左足のキックを持つ北川だが、本人曰く直接FKを決めた記憶はないという。決めた本人が「正直びっくりした」というキックだが、蹴った瞬間に「来たな」と確信したという。

 地元凱旋となった大会直前のガーナ女子代表戦の終盤に右膝を痛めた。「膝の怪我もあまりなかったですし、どういう結果(診断)か分からず、あのときはやばいかなと思った」と当時を振り返る。池田太監督の「(大会の)途中からでいいから」という言葉を受け、復帰に向けてトレーニングを積んでいた。

 スペイン女子代表戦、ブラジル女子代表戦と欠場が続いたが、第3節で出番が回ってきた。今も膝の痛みは「ゼロではない」というが、回復に向けて段階を踏んだ。「自分がどこまでやれるか若干不安もあったりしたんですけど、抜擢されてからは本当にやるだけだと思いっていた」と心境を明かした。

「正直、本当に焦りはあったけど、自分自身と向き合いながら、トレーナーの人たちにも支えてもらいましたし、本当はもうちょっと遅い(予定だった)んですけど、早めに復帰できて感謝しています」

 なでしこジャパンはウイングバックの層に問題を抱える。初戦で負傷した清水梨紗がチームを離脱し、30日の練習を欠席した古賀塔子がナイジェリア女子代表戦を欠場した。満身創痍のスクランブル起用が続く中で北川の復帰は追い風になるはずだ。

(取材・文:加藤健一【フランス】)

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