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Jリーグ 2か月前

「期待を裏切ることもあった。でも…」小野裕二の言葉はアルビレックス新潟を「勝利に飢えたチームに」する【コラム】

シリーズ:コラム text by 野本桂子 photo by Getty Images

「そういう集団になりたい」小野裕二が発した言葉の真意


「サポーターは折れていないのに、なんで俺たちが折れているの?」「ピッチに立ったら、勝つためにやれることをやらないといけないんだよ」「絶対に、大阪にも来てくれるし、みんなで喜ぼうよ」。その姿は、クラブ公式の有料動画サイトで公開されていた。

「やっぱり口だけじゃ、みんなもついてきてくれないと思うし、自分は自分のやれるプレーをしっかりやる」。その1週間後、小野はサポーターの期待に、結果で応えた。その後、アディショナルタイムに1失点を喫したことで、小野のゴールは貴重な決勝点となった。

 言葉だけでなく、プレーでも示した。C大阪戦は11試合ぶりのスタメン起用。「自分が入ったことによって、チームとして、ゴールの優先順位を上げたプレーが増やせたらいいと思っていた」と意識。タイミングのいい動き出しから7分、16分、31分と決定機を連発した。また、前線からの守備も、小野が要所でコントロールしていた。

「奪いに行くときだけじゃなく、『行くな』という声もかけてくれたので、やりやすかった」と長倉幹樹がいうように、不用意に中央に穴を空けない距離感を保ちつつ、狙えるときは「120パーセントの力で奪いに行く」(小野)ことで、メリハリのある守備が機能。攻守で、あるいは切り替えの局面で小野が見せた迷いのないプレーは、次に続く選手の判断を明確にし、スムーズな連動が生まれた。

 歯に衣着せぬ発言や、迷いがないからこその強度が高いプレーは「本当に勝つためには、何をしなければいけないのか。それを考えたときに、自然と出てくるもの」と小野。そして「それは全員が持っていると思う。行動や発言の仕方は人それぞれ違うと思いますが、全員が自分を出していけるようになれば、もっと勝利に飢えたチームになっていくと思いますし、自分はそういう集団になりたい。練習からそういうものをチームに吹き込んで、試合を見に来てくれた人が本当に感動するような試合をしたいと思います」とてらいなく、熱い思いを口にする。

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