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海外サッカー 4か月前

来日してわかったトッテナムというクラブの凄さ。「本当にアメージング」、国立競技場に響いた驚きの声【コラム】

シリーズ:コラム text by 内藤秀明 photo by Getty Images

「今の録音もらえる?」記者も驚愕の徹底管理


 以前よりトッテナムの監督や選手のコメントは、他のチームと比べて、よく言えば安全な、悪く言えばやや面白味にかけるコメントが多い印象があった。ただ今回の取材で、その一端を見た。広報の管理が徹底しているのだ。

 ポステコグルー監督に関しては、マリノス時代からもそうだったらしいが、今回の記者会見ではチームの内情を何も語らない姿勢を徹底させていた。「イエスかノーかで答えてください」という記者側の”何か答えて欲しい”という強い意志が込められた質問にも、その記者に対して「良い試みだ」と意図を理解して誉めながらも、「イエスでもノーでもない」と答えたくらいだ。

 また、ミックスゾーンでは(記者が試合後、選手に質問できるエリア)、ソン・フンミンこそなんとか質問させてもらえる時間を作れたが、その他のほとんどの主力選手は無理だった。更衣室からバスの乗り口までの導線にあるミックスゾーンを、選手一人に対して広報が一人ベタ付きで速足で歩いていった。広報の「あまり話させたくない」という意思を感じた。

 なんとか止まってもらえたムーアに関しても、インタビューが終わった瞬間、広報から「今の録音もらえる?」と聞かれた。記者と選手のやりとりを漏れなく全て、音源で管理しているようだった。緊急用に連絡先も聞かれた。

 筆者はベテランの記者と比べそこまで経験が豊富ではないものの、それでもリバプールFC、マンチェスター・ユナイテッドFC、チェルシーFC、マンチェスター・シティFC、ブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンFCなど、いくつかのプレミアリーグのクラブを取材したことがある。ただ、ここまで広報が厳しいのは初めてだった。

 誤解してほしくないのだが、これは広報批判ではない。管理が徹底していたため、純粋に凄いなと感心したのだ。ただ、スパーズの番記者には同情せざるを得ない。日々、情報を得るために、かなり苦労しているのではないか。

 ムーアの10代離れした受け答えも、本人の資質だけではなく、広報がメディア対応トレーニングを実施した結果なのかもしれない。そうだとしたら、選手だけでなく、広報もかなり心強い存在だ。

 いずれにしても今回のスパーズの来日は、多くの関係者にとって素晴らしいものになったのではないだろうか。筆者としても取材して得るものが多く、純粋に楽しかった。

 これだけ未来が明るいスパーズが、プレミアリーグ本番でどれだけの輝きを見せるのか。今後も動向を追って行きたいところだ。

(取材・文・内藤秀明)

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【了】

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