「まさか日本のファンがあんな風に…」
そもそも今回のトッテナムの来日が盛り上がる予感はあった。以前よりトッテナムファンは、他のファンとは多く交流せず、トッテナムファンだけで狭く深く交流している印象があった。また、来日が決まって以降、トッテナムの公認サポーターズクラブであるスパーズ・ジャパンの人がかなり忙しそうにしていることも知っていた。彼はトッテナム本体と、日本のファンの要望の折衝役を熱心に務めつつ、クラブOBレドリー・キングを招いてのファンイベントや、ファンだけのクイズ大会、オンラインでの交流会など、様々なイベントを企画していた。
だからこそ「結構、今回の国立の試合は盛り上がるかも?」とは思っていた。しかし実際にトッテナムファンが歌うチャントを聞いたら圧巻だった。本当に、トッテナム・ホットスパースタジアムにいるかのような雰囲気になっていたのだ。ゴール裏からは、定番のチャントである聖者の行進が大音量で聞こえてくる。良いプレーには拍手、相手のネガティブなプレーには野太い声でブーイングが飛び交う。国立競技場が、完全にイングランドのスタジアムになっていた。
こうなると気になるのが、試合後の監督や選手たちの反応だ。この件をポステコグルー監督に尋ねると、試合前日会見とは打って変わって流暢に語り始めた。
「(日本の)サポーターの方々は素晴らしい応援をしてくれました」と語り出したのち、「そしてスパーズのサポーターの方々はホームのような素晴らしい雰囲気を作ってくれました」と賞賛している。最後に「本当にサポーターの皆さん、日本のファンの応援に感謝しています」と回答を締め括った。
選手たちにも同様の質問を投げかけた。ソン・フンミンはゴール裏のチャントに対して「本当にアメージングな経験です。まさか日本のファンがあんな風に応援してくれるとは思っていませんでした。でも今日、これだけ多くのファンが、世界の反対側で応援してくれていることを知り、選手として人間として、もっと彼らを幸せにしたい、誇りを持ってもらいたいと思いました」と明かしている。
16歳のムーアも「ええ、素晴らしかったです。何曲も聞こえたし、僕のことも歌ってくれた。だから本当にありがとう」と感謝の気持ちを語っている。
最後に、さすがスパーズだと感じたことを綴って終わりたい。