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清水梨紗は「対策はバッチリ」と言っていた。なでしこジャパンはなぜブラジルを撃破できたのか?【パリ五輪現地コラム】

シリーズ:コラム text by 加藤健一 photo by Getty Images

「梨紗も抜けて…」総力戦でつないだバトン



「あの時間帯まで耐えることができたのは、本当にみんながハードワークして戦ってくれたおかげなので」。チームメイトの奮闘に感謝しながら、谷川は「自分が変えてやる」という強い気持ちを持ってピッチに立った。

 同点弾につながるPK獲得と、鮮やかなミドルシュートで一躍ヒロインになった谷川だが、先述した国内合宿で谷川は別メニュー調整を強いられていた。「左足でボールを蹴ることさえできなかった」と涙ながらに振り返る谷川は、「太さんが自分にチャンスをくれたのは感謝しかない」と指揮官への謝意をこれ以上ない形でピッチで表現した。

 過酷な国内合宿を経験した選手たちが最後まで走り、怪我で出遅れた19歳が勝負を決めた。13日のガーナ女子代表戦で負傷した北川ひかるに代わって左ウイングバックに入った守屋都弥は、バックアップメンバーとしての選出だったが、国内合宿からチームを盛り上げ続けていた。清水に代わって右ウイングバックに入った18歳の古賀塔子も、持ち前の粘り強い守備で貢献している。22人全員で勝ち取った勝利だった。

「まだ2戦目だけど、(清水)梨紗もぬけて、いろんなことがあった。総力戦で、みんなで勝ち取れた勝ち点3。とにかくみんなに『ありがとう』ということと、本当にここで終わりじゃないし、次につなげるしかない」

 キャプテンの熊谷はここまでの紆余曲折を振り返りながら、前を向いた。なでしこジャパンの躍進は、ここから始まる。

(取材・文:加藤健一【フランス】)

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【了】

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