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清水梨紗は「対策はバッチリ」と言っていた。なでしこジャパンはなぜブラジルを撃破できたのか?【パリ五輪現地コラム】

シリーズ:コラム text by 加藤健一 photo by Getty Images

「対策はバッチリじゃないですかね」

なでしこジャパンDF清水梨紗
【写真:JMPA代表撮影】



「あの暑い中で死ぬほど追い込んでいるので。みんなで掴んだ勝利だったと思います」

 この日のフランス・パリは気温25℃を超える暑さだった。17時キックオフだが、この時期は日没が21時半すぎなのでまだ太陽は高く、ピッチには日差しが照り付けていた。フル出場した長野風花が「あの暑い中」と表現したのは、今月8日から行われた国内合宿のこと。千葉市内で行われた4日間すべてで、最高気温は33度以上を記録していた。

 5月、6月にシーズンを終える選手がほとんどで、なでしこジャパンにとって重要だったのはコンディション調整だった。選手たちには8日に迎える合宿までにしっかり練習できるコンディションを整えるよう通達されている。合宿初日の練習後、清水梨紗はこのように話している。

「暑熱対策はバッチリじゃないですかね。暑熱すぎるとおもいますけど(笑)。こういう過酷な環境の中でのトレーニングはキツいですけど、フランスにいったときに涼しいと思えるように」

 先制される苦しい展開だったが、なでしこジャパンはゴールを目指して走り続けた。決定機を逃し続けた田中が「出ている限り、池田さんが信じて出させてもらっている限り、ゴールを狙い続け、守備でも追わなきゃという気持ちの中でやっていました」と言う。

 田中のPK失敗や後半の失点など、崩れてしまいそうになるポイントはいくつかあったが、なでしこジャパンは賢明に耐えた。崖っぷちでチームを踏みとどまらせたのは、「声」だった。

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