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逆転勝利のヒロインとなった谷川萌々子
なでしこジャパン(サッカー日本女子代表)は現地時間28日、パリ五輪(パリオリンピック)グループリーグ第2節でブラジル女子代表と対戦し、2-1で逆転勝利を収めた。同点弾につながるPK奪取に絡み、逆転となるスーパーゴールを決めた谷川萌々子は試合後、当時のやり取りを明かしている。
「いいこぼれ球が来たので、思い切って(右足を)振った。チームのために貢献できたのが、本当に今日は良かったと思います」と振り返ったのは逆転ゴールのシーン。こぼれ球に迷いなく右足を振り抜くと、前に出ていた相手GKの頭上を越えてゴールネットが揺れた。
もう1つのハイライトとなるのがPKを獲得したシーンだ。鋭い切り返しに対峙した相手選手が倒れ、その腕にボールが当たった。オンフィールドレビューを経てなでしこジャパンにPKが与えられている。
主審がピッチの脇で映像を確認している間、谷川ら選手たちの多くは池田太監督が指示を出すテクニカルエリアの周りに集まっていた。前半終了間際にもなでしこジャパンはPKのチャンスがあったが、田中美南が失敗している。2度目のキッカーは誰になるのか注目が集まる中、谷川は指揮官に「(キッカーは)自分ですか?」と尋ねたという。指揮官は熊谷にキッカーを託すとともに、「自分の思いを(熊谷に)伝えてきて」と谷川に言った。
キッカーを半ば名乗り出るような恰好となったが、谷川曰く「自分自身がそういうふうにチームに貢献したいという強い気持ちを持っているからこそ」の行動だったという。試合後に蹴る心の準備ができていたかを問うと、谷川は「はい!」と即答した。この試合が谷川にとって初の五輪だったにもかかわらず、堂々たるプレーでチームを勝利に導いた背景には、こうした谷川の物怖じしないメンタルがあった。
(取材・文:加藤健一【フランス】)