ドリブルの原点は兄。斉藤光毅が見据える次の目標とは…
「世界大会はみんな誇りを背負ってバチバチになると思うので、自分も怪我なんかビビらずにバチバチ行く。(同組の)3チームとも凄いタフだというイメージがあるし、タフなゲームになると思う。でも、自分たちもタフさで絶対に負けたくない」
負けん気の強さは子どもの頃から変わらない。自身の代名詞でもあるドリブルの原点は、近所の公園でやっていた2歳上の兄との1対1。「お兄ちゃんだから負けるんですけど、負けたくないので拳が出る(笑)。毎回ケンカになる」と言うほどだ。
本能のまま技を磨いてきた少年は、プロサッカー選手になりたいという夢を抱き、それはいつしか次の目標に変わった。
「チャンピオンズリーグの決勝で点を取りたいというのが一番の目標。決勝に出られるチームだったらどこでもいいですが、まだ自分はそういうチームに行ける段階ではない。いろんな段階を踏んで、何が最善策かをしっかり模索しながらやっていきたい」
Jリーグからベルギー2部、そしてオランダ1部。今夏にはさらなるステップアップが予想される。しかし、その前にはパリ五輪という舞台で金メダルを取るという目標がある。大会前には斉藤は「本当に大きい大会なので、そこで活躍して日本の歴史を変えられれば、自分にとっても日本にとっても歴史的な日になる」と意気込んでいた。
メンバー発表前に「どうしても選ばれたいっす」と言っていた斉藤は、U-23日本代表の背番号10を背負う。チャンピオンズリーグ決勝へと続く階段の途中にあるパリ五輪という舞台の初戦で斉藤は2アシストという爪痕を残したが、斉藤の求めるものはもっと上にある。
「(パラグアイ戦は)全然満足できる出来じゃなかったと自分の中で思っている。もっとボールを受けたときにチャンスを作れる場面はあったし、シュートを打てた場面もあった。逆にシュートの打ち方も自分的には満足できなかった。もっと自分が満足できるようなプレーをしたいと思っていますし、していかなきゃいけない。そこはこだわってやっていきたい」
初戦の試合直後、斉藤らしい笑顔とは対照的に、頼もしい言葉が並んだ。「本当に優勝しなきゃいけないと思うし、次の試合に勝たないと意味がない」。斉藤の目線はすでに次戦へと向けられている。
(取材・文:加藤健一)
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