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なでしこジャパン長谷川唯が知った「世界との差」。「自分の好きなスタイルで」世界最高峰で活躍できる理由【パリ五輪コラム】

シリーズ:コラム text by 折原亘 photo by Getty Images

長谷川唯が知る「世界との差」


 合宿3日目のヴィアマテラス宮崎とのトレーニングマッチ(30分×3本では1本目と2本目に出場し、2アシストを記録。2本目の藤野あおばのゴールをアシストしたシーンでは、高い位置で奪ってからすかさず縦にパスを供給してゴールに繋げた。「取った後のカウンターはしっかり良いボールを出せたと思う」と狙い通りのプレーができていたようだ。

 なでしこジャパンのパリ五輪初戦の相手は2023年のW杯優勝国であるスペイン女子代表だ。なでしこジャパンはW杯でそのスペインとグループ最終節で激突し、4-0の勝利を収めた。だが、長谷川は「W杯の時は正直運よくああいう形で勝てたのかなと。見ている人たちが思っているよりも、簡単な試合ではなかったので、それがもう一度できるかと言われたら、難しいところはあると思う」と振り返った。

 米メディア『ESPN』によると、W杯での日本とスペインのポゼッションは77.1%でスペインが圧倒。カウンターから4ゴールを奪ったが、「ああいう試合にならないように、入りで見せたい」と長谷川は語る。それでも「ああいう形になっても自分たちにはカウンターもあるっていう自信もついたので、メンタルの部分でどういう試合になっても、対応できるような準備をしたい」と意気込んだ。

 パリ五輪の2戦目で戦うブラジル女子代表とは今年4月に行われたアメリカ遠征で対戦。90分間の戦いでは1-1のドローだったが、PK戦の末に敗れた。田中美南のゴールで35分に先制しながらも、71分に失点。追加点を決めるチャンスを逃し続け、最後はPKで敗戦した。ブラジル戦について長谷川は「自分たちが勝たなければいけない試合だったと思いますし、こういう試合が本大会であってはいけないなと強く感じた」と振り返る。

 4月のアメリカ遠征ではFIFAランキング9位のブラジルに加え、同5位のアメリカ合衆国とも対戦できた。この2試合でなでしこジャパンの立ち位置が見えたはずだ。長谷川は「アメリカ戦は自分たちのビルドアップのところも含めて、力のなさを感じた。試合中になかなか修正できなかったところも含めて、ニュージーランド戦で修正できた部分もあるので、課題をしっかり修正した姿を五輪で見せられるようにしたい」と世界との差を感じつつも、パリ五輪へ向けての自信も示した。

 その差を感じた中で6月のニュージーランド女子代表戦では2-0、4-1と2連勝。パリ五輪のメンバー入りをかけたサバイバルレースでもあったが、チームの完成度を高められたはずだ。長谷川は「応援される上で結果を出せるチームになりたい」と語っており、パリに届く日本サポーターの応援を背に初の金メダル獲得を目指す。

(取材・文:折原亘)

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【了】

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