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【特集:松井大輔のドリブル分析】平河悠が「突破成功率を上げるには…」。パリ五輪では「重心のかけ方を修正する必要がある」

シリーズ:松井大輔のドリブル分析 text by 松井大輔 photo by Getty Images

ドリブル突破の成功率を上げるには…


 平河のドリブルについて話を戻しますが、チームの戦術なども影響しているとは思いますが、大半が縦方向への突破で中央にカットインしてシュートを狙うシーンがあまり見受けられません。個人的にはそこが彼の課題だと考えています。中央へ切り込みシュートを狙うプレーができるからこそ、縦方向への突破もやりやすくなります。相手にはどちらの選択肢もあるように惑わせることが大事です。相手に恐れられる選手になるには、中央へのカットインをもっと修練したほうがいいと思っています。

 そういった平河の良さを生かすためには、オフ・ザ・ボールの動きが重要になります。彼が1対1の局面で質的優位な状況を迎えたときに、他の選手は彼の突破したいスペースを埋めないようにしなければいけません。また、そうなったときに周辺の選手がどこにパスコースをつくるのかによっても、突破の成功率は大きく左右されます。

 おそらくですが、本番までの間にそういった部分を話しながら詰めていることだろうと思います。

 平河のドリブル突破成功率を上げるには、周辺選手の動きが重要という話をしましたが、それを含めてこのチームではサイドバックがキーファクターになると思っています。ですから、大畑歩夢や関根大輝らにも注目しています。

 特に、関根はサイドバックには珍しく上背もある選手で、今までにはいないタイプなので関心を寄せています。ただ、この間ひとつだけ指摘をしました。彼のプレーを見たときにすべて左足を出してスライディングをしていました。そのプレーを見た僕が相手だったら、必ず逆方向へ切り返すと話をしました。それを受けて、どういったプレーを見せてくれるか個人的に楽しみですね。

 その他にも多くの注目ポイントがありますが、総じて一言でいうなら期待しかないですね。先に言った将来的な楽しみもありますが、もちろん今大会で見せる彼らのプレー、成長にも期待を寄せています。

 いつの時代もそうですが、新たなスターが生まれてくるシーンはやっぱりワクワクが止まらないですよね。

(文:松井大輔)

プロフィール:松井大輔(まつい・だいすけ)

Fリーグを運営する日本フットサルトップリーグ理事長。横浜FCフットボールアカデミースクールコーチ、浦和レッズアカデミーロールモデルコーチ。1981年生まれ、京都府出身。鹿児島実業高校から京都パープルサンガ(現京都サンガ)に加入。2004年に渡ったフランスではル・マン、サンテティエンヌ、グルノーブル、ディジョンに在籍し、ロシア、ブルガリア、ポーランド、ベトナムでもプレー。14年からはジュビロ磐田、18年からは横浜FC、21年10月にY.S.C.C.横浜フットサルに加入して22年からはフットサルとの二刀流で活躍。04年のアテネ五輪、10年の南アフリカW杯、11年のアジア杯にそれぞれ出場。23年限りで現役を引退した。

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【了】

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