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【特集:松井大輔のドリブル分析】平河悠が「突破成功率を上げるには…」。パリ五輪では「重心のかけ方を修正する必要がある」

シリーズ:松井大輔のドリブル分析 text by 松井大輔 photo by Getty Images

「足の運び方が上手」松井大輔が称賛する平河悠「以前に話を聞いたとき…」


 彼は両利きといっても過言でないほど、左右どちらも高いクオリティを発揮できるのが特徴です。その特徴を生かして、右サイドでも左サイドでもプレーできます。以前に話を聞いたとき、「右サイドでは左足でボールにタッチするようにし、逆に左サイドでは右足でタッチするようにしている」と言っていました。そうすることで、縦方向へ加速するときにスピードを落とさずにボールを運ぶことができます。

 それを両サイドでできる選手は、世界を見渡してもそうそういません。パリ・サンジェルマンに所属するフランス代表のウスマヌ・デンベレが、同じように両足ともに高水準のプレーができる選手のひとりといえますが、やはり重宝されていますよね。どちらの足からでも仕掛けられるし、どちらの足からもシュートを打てます。そうなると利き足のはっきりとした選手よりプレーの選択肢が多くなり、守備する選手もそれだけ迷う要素が増えて守りづらくなります。だから、単純なキックフェイントでも効果は大きくなる傾向があります。

 また、平河は縦方向への突破後のクロスも高水準です。特に、突破から蹴るまでの足の運び方が上手ですね。縦方向へ突破して真っ直ぐに走ったままでは、横方向へのクロスを強く蹴ることができません。しかし、平河は突破と同時にうまく回り込み、蹴り足を横方向へ振りやすいように足を運んでいます。また、クロスを入れられるだけのスペースをつくるために、ボールをマイナス方向へと運んでいます。このボールと足の運びがうまくできるから、質の高いクロスを供給できるのです。

 ちなみに、縦突破時に相手を置き去りにする場合、ボールはややプラス方向へ運び出したほうが確率を高められます。それは相手の前に体を入れやすくなるからです。

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