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日本代表 4か月前

専門家が分析「断トツに高い」伊東純也の身体だからこそできる。デ・ブライネとの共通点と「重さをバネに変える仕組み」

シリーズ:コラム text by 水野裕介 photo by Getty Images

なぜスピードが落ちないのか? 重さをバネに変える身体の仕組み


 みぞおちの前に胸を乗せる動作を伊東はドリブルでも活かしている。記憶に新しいのは昨年9月のトルコ代表とのキリンチャレンジカップ。相手コーナーキックのクリアを拾った伊東は自陣ペナルティーエリアのすぐ外からドリブルを開始し、スピードを落とすことなく約80m近く運び、ついてくる相手ディフェンダーに倒される形で最後はPKを獲得した。

【動画】2023/09/12 日本代表対トルコ代表

 なぜあそこまでの長距離をスピードを落とさずに走ることができるのか。しかも、ただ走っているだけではない、ドリブルをしながらだ。そこには身体の重さをバネに変える身体的な仕組みがあると三浦氏は言う。

「スピードアップしようとしたら、地面に加える力を大きくする必要がある。でも、足だけでそれをやるのは難しい。伊東は上半身の重さを使って下方向に圧をかけて、地面の反力をもらう動作がすごくうまい」

 ボールをタッチした足が着地するタイミングで、腕を振りおろす動きに合わせて“みぞおちの前に胸を乗せることが加速の合図となる。下方向に圧をぐっとかけることができ、地面からの反発を大きなバネに変えることで加速を可能にしている。

 プレー動作以外でも伊東の「基礎体力」の高さがうかがえる場面があると三浦氏は言う。

【動画】伊東純也の懸垂

 懸垂の動作は、腰から腹回り、下腹部の筋群を効かせて上半身の姿勢を保持しながら、肩甲骨から腕を動かす必要があるため、自重をコントロールする「基礎体力」が分かりやすい動作である。

 伊東のように懸垂を悠々とこなすことは「基礎体力」の高いトップ選手の証。自重トレーニングは身体への負担も少ないことから、育成年代の選手たちでも取り組みやすいエクササイズなのだ。

 後編は伊東と同じウイングを主戦場とする平河悠のドリブルの特徴と、藤田譲瑠チマの“沈むバネ”を使った身体動作を三浦の視点から解説する。

(文・水野裕介)

プロフィール

三浦哲哉(みうら・てつや)
1980年4月25日生まれ、岩手県出身。理学療法士、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー。大船渡高校、順天堂大学、専門学校社会医学技術学院卒。整形外科クリニックでの理学療法士業務と並行して、サッカーを中心にトレーナー活動を経験。タマリバクラブ(ラグビー、2005〜08年)、慶應義塾体育会ソッカー部(10〜20年)、全日本大学選抜(13〜15年)、ユニバーシアード男子日本代表(15年)でトレーナーを務めた。

書籍情報

『サッカーフィジカルのプレーモデル』

三浦哲哉 著、須佐徹太郎 監修
定価:2,310円(本体2,100円+税)
これまでになかったサッカー選手のための自重をコントロールする「基礎体力」の型
世界で活躍するトップ・オブ・トップのサッカー選手の動作的特徴として、「スプリント」「減速・加速」「方向転換」の速さが挙げられる。それらを支えているのが、「弾むバネ」「沈むバネ」「しなるバネ」の3つのバネである。また、身体的特徴として、「上半身の姿勢の良さ」「腹~腰回り、下腹部の筋群の発達」「自由度の高い股関節」がある。本書では、現代サッカーを制するために必要不可欠な3つのバネの作り方を中心に、中学生年代から大学生年代かつプロ選手まで適用できる、これまでになかったサッカー選手のための自重をコントロールする「基礎体力」の型を提示する。

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【了】

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