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Jリーグ 2か月前

成功の布石。湘南ベルマーレは機能不全をすべて解決した。降格圏に沈んだ「これまで」からの変化とは【戦術分析コラム】

シリーズ:戦術分析コラム text by Nobuya Akazawa|J1全部見るマン photo by Getty Images

湘南ベルマーレが空回りした3つの理由


 ではなぜ湘南は苦しんだのか。まず1つ目に考えられるのは「速さの跳ね返り」だ。昨今のフットボールはフィジカルレベルが上がっている分「より速く、より強く」は通用しづらくなってきている。だからこそ「速さの選択」が必要になるのだが、湘南は常に速さを選択し続ける他ない状況になっている。

 そして、この速さはそのまま自分たちに跳ね返ってくる。それゆえにカウンターの応酬になることが多い。アップテンポになりオープンな状態になれば、当然のように「刺し合い」になる。お互いにゴールチャンスが生まれ、先制されるとテンポを落とされてしまう。試合をコントロールされて苦しむ試合が多かった。

 さらに2つ目に速さの応酬による疲弊だ。ハイプレスを敢行続けるのにも縦に早く攻撃を仕掛け続けるにも体力は必要になる。だが先述したように速さの跳ね返りによる体力の消耗が湘南を支えているハイプレス+ショートカウンター、ダイレクトアタックを押し出すことを難しくさせた。速さは呼吸を浅くし、相手と同時に自分たちも苦しめる。

 ラスト15分とアディショナルタイムの失点数は10で、リーグで3番目に多い。この疲弊によって、試合終盤の失点が重なってしまったのではないだろうか。

 そして3つ目。ネガティブトランジションが機能しにくくなったことが挙げられる。これこそが進化の布石だったのかもしれないが、保持の局面での立ち振る舞いが少し変わっていたがゆえに、ネガティブトランジションが機能しにくくなっていた。

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