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Jリーグ 2か月前

川崎フロンターレは「ちゃんと負けて」いないから難しい。試合終了までの、それぞれの思い「またか」「終わったと…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

「彼らだけに任せないように…」


「ここからだな、という思いが一番強かったですね。ソンリョンさんのセーブでそこで救われた気持ちがすごく大きかったですし、それこそチーム全員でつかんだ勝利だった、という感じなので」

 危機を救ったソンリョンだけではない。先発した家長が、途中出場の小林や大島が必死に走り、守備でも体を張り続けた。鬼木監督も勝ち越した直後の81分に、足がつったマルシーニョに代わる最後の交代カードであえてFW山内日向汰を投入し、守りを固めるのではなく攻めるというメッセージを送った。

 J1リーグを最終節での逆転劇で制し、悲願の初タイトルを獲得したのが2017シーズン。これまでに手にした7つのタイトルすべてを知る選手たちや指揮官が見せた執念に、脇坂は思いを新たにする。

「ベテランの選手たちは、ここまで経験してきたものが他の選手たちとはまったく違うし、それらを日々チームに対して還元してくれている。その姿は本当に頼もしいですけど、だからといって彼らだけに任せないようにしなきゃいけない。僕ら中堅や若手が、もっともっと勢いをつけていけるようにしないと」

 待望の勝利を手にしたものの、順位は14位で変わらない。キックオフ前の段階で川崎よりも下位だったアルビレックス新潟と湘南ベルマーレ、京都サンガF.C.もすべて勝ったために勝ち点差も変わらない。自動降格圏の18位のジュビロ磐田との勝ち点差も4ポイントと、まだまだ油断できない戦いが続く。

 それでも、開幕から続いてきた悪い流れをようやく断ちきった、という手応えがあるからだろう。脇坂は「今後につながる勝ち点3だと思う」と静かに語った。21日から入った中断期間で、いいムードでさらなる調整を積み重ねられる状況も整った。中断明けの初戦は8月7日。ホームのUvanceとどろきスタジアム by Fujitsuに昨シーズンの王者・ヴィッセル神戸を迎える第25節で、遅ればせながら今シーズン初の連勝を目指す。

(取材・文:藤江直人)

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