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Jリーグ 2か月前

川崎フロンターレは「ちゃんと負けて」いないから難しい。試合終了までの、それぞれの思い「またか」「終わったと…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

「またか…」「終わったと思った」


「PKやFKの情報を石野(智顕)ゴールキーパーコーチがいつも共有してくれて、今日も(マテウス・)サヴィオ選手が、僕から見て真ん中か左にPKを蹴ってくると試合前に伝えられていました。なので、ほんの少しだけ左を空けておいて、本当に最後の最後まで我慢して、先に飛ばないようにしました」

 キッカーのMFマテウス・サヴィオはデータ通りに、ソンリョンから見て左側を狙ってきた。しかも、コースがやや甘い。ソンリョンが完璧にセーブして同点とされるピンチをしのげば、右サイドにこぼれ球を拾ったDF川口尚紀を猛然とチェック。クロスを右CKへと変えたのは、PKを取られた橘田だった。

 中村主審の判定がPKに変わった瞬間に何を思ったのか。脇坂はこんな言葉を残している。

「なったものはもうしょうがないので、あとはソンリョンさんを信じよう、と。ただ、ソンリョンさんが止めても相手に詰められて、ゴールされたらどうしようもない。それだけをみんなへ声がけしていた」

 キャプテンの檄が通じた証が、前述した橘田が見舞った川口へのブロック。右サイドバックのファンウェルメスケルケン際も、心の片隅で「正直、またか」と観念しかけながら、すぐに顔をあげたと振り返る。

「今日こそは絶対に勝つんだ、というみんなの強い思いがずっとあったので」

 そして、最終的には10分を超えたアディショナルタイムの末に、7試合ぶりとなる勝利を告げる中村主審のホイッスルが敵地の夜空へ鳴り響いた。真っ先にソンリョンに抱きついたのは橘田だった。

「ソンさんには『ありがとう』と言いました。PKになった瞬間は『終わった』と思ったので」

 ヒーローインタビューにも呼ばれた脇坂は、勝利した瞬間に抱いた思いを次のように明かしている。

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