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Jリーグ 2か月前

川崎フロンターレは「ちゃんと負けて」いないから難しい。試合終了までの、それぞれの思い「またか」「終わったと…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

アディショナルタイムの最大の試練


「今週の練習の感じでは、(脇坂)泰斗のポジション(トップ下)か、そっちのサイド(右)のどちらかだと思っていましたけど。それでも攻撃でも守備でも、自分がもっているものを出そう、と」

 後方からは大島と瀬古のダブルボランチ、右サイドでは小林、前線では瀬川と、交代で入った選手たちが新たなパワーを与えてくれる。何がなんでも勝つ、というベンチの意思に脇坂も奮い立たされた。

「再びパワーが必要になった状況で、交代選手を含めてチーム全体で、というメッセージを感じました」

 メッセージに対する一発回答が、5人が連動した末に脇坂が決めた79分の勝ち越しゴールだった。しかし、勝利の女神は簡単には微笑んでくれない。それどころか、最後に最大の試練を川崎に与えた。

 柏のFW小屋松知哉が右角あたりから、川崎のペナルティーエリア内へ侵入した直後の90分。小屋松が切り返したボールが、ボランチから左サイドバックに回っていた橘田健人の右手に当たってしまった。VARの介入と中村太主審によるOFR(オン・フィールド・レビュー)をへて判定が変更され、柏にPKが与えられた。

 時計の針は8分と表示されたアディショナルタイムの94分になっていた。勝利への思いとともに、小林から「絶対に止めてくれ」と願いを託されていた守護神、チョン・ソンリョンは心憎いほど冷静だった。

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