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Jリーグ 2か月前

川崎フロンターレは「ちゃんと負けて」いないから難しい。試合終了までの、それぞれの思い「またか」「終わったと…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

瀬川の1トップ起用の裏には「彼の頭の良さで勝負できる」


「今日も先制できて、さらに2点目も取れましたけど、その後にすぐ失点してしまった。すべてを改善できるものじゃない、と思いながらも、それでも自分たちから崩れることなく、みんなと『リードしている状況には変わりない』と声をかけ合いながら、ただまだ時間は長かったので3点目を取りにいったんですけど…」

 しかし、次のゴールをあげたのは柏だった。エンドが変わった67分。柏が放った左CKのこぼれ球が右サイドのスペースへ流れる。足が止まりかけていたからか、川崎の選手が誰も詰めていかない。慌てた脇坂がボールとの間合いを詰め、最後はスライディングで阻止しようとしたが間に合わなかった。

 MF山田雄士があげた絶妙のクロスに、ファーで反応したのはFW垣田裕暉。鹿島アントラーズから4日に完全移籍で加入し、初先発した垣田が頭で決めた今シーズン初ゴールが試合を振り出しに戻した。

 下を向きかねない苦境で、しかし、鬼木監督が70分に見せた選手交代が川崎を鼓舞した。

DF三浦颯太とMF大島僚太、MF山本悠樹とMF瀬古樹、そしてFW山田新とMF瀬川祐輔の3枚替え。さらに瀬川は1トップに入り、家長に代わって64分に投入されていたFW小林悠をそのまま右サイドでプレーさせた。小林の1トップも考えながら、思いとどまった意図を指揮官はこう明かす。

「前線からの守備のスイッチが入りづらくなっていたのと、相手の背後に行くパワーが減ってきていたので瀬川をあの位置で使いました。(小林)悠が右サイドにいれば攻撃でも守備でも相手のストロングを消しながら、自分でゴール前に入っていくところや時間を作るところで、彼の頭のよさで勝負できる、と」

 最前線の真ん中というポジションに驚いた瀬川は、すぐに鬼木監督の意図を感じ取っている。

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