宮澤裕樹や駒井善成が見たエースの背中
「PK外してしまったり、なかなかうまく噛み合ってなかったりとか、少しのボタンのかけ違いで、なかなか(ゴールが)入らなかったですけど。今日はすごく良いプレスや、良い抜け出し、良いシュートをやってくれたので。やっぱりFWがゴールを取ることで、チームも勢いに乗ると思う」
そう駒井が説明するように、鈴木の能力を知るからこそ、仲間たちも結果が出ない鈴木を一人にさせることなく見守ってきての現在がある。札幌一筋のバンディエラとして知られる宮澤裕樹も「本人も辛かったと思いますし、きつかったと思いますけど、ゴール以外の献身的な部分は普段からやってくれていた。武蔵のゴールはみんな待ち望んでいたと思いますから。どんどん良いボールを供給しながら、彼が点取るのをサポートしていきたい」と期待を寄せる。
降格危機にある札幌は鈴木のゴールをただ待っていたわけではない。今年のJ3でここまで10得点を記録していた白井陽斗がFC琉球から加入、新外国人のジョルディ・サンチェスを獲得するなど、得点力アップのためにFW陣を強化してきた。ここまで我慢強く鈴木を使い続けてきたペトロヴィッチ監督としても、シビアな選手起用を迫られていたはずだ。
そうした中で、札幌の勝利を呼び込む2得点は大きな前身だが、シーズンの結果としてみれば、まだ2得点に過ぎない。2週間半のブレイクを挟んで、8月7日の横浜F・マリノス戦から残り14試合で、鈴木が真のエースとして終盤戦を引っ張っていけるか注目したい。
(取材・文:河治良幸)
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