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Jリーグ 2か月前

「やはり…そうですね…」川崎フロンターレの現状は、登里亨平の目にどう映ったのか。“敵”としての新たな景色と感情【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

「セレッソで求められている」移籍して気づいた誇らしい経験


「あのように迎え入れてくれたところは本当に感謝しかないし、自分にとってフロンターレはすごく思い入れがある特別なクラブだとあらためて思いました。ただ、リーグ優勝という目標を掲げるセレッソで、復帰した自分がいかにして必要なものを還元できるか。そこはピッチに立っても立たなくても、自分がやるべきことは変わらないと思いましたし、外から見て気づくことはしっかり伝えようと心がけていました」

 試合は同点、逆転を狙って攻撃的な選手を次々と投入したセレッソの小菊昭雄監督の采配もあり、フィールドプレイヤーではただ一人、登里に出番が訪れないまま終わった。もっとも、選手たちがすべて引き揚げた後に登里は再び姿を現し、古巣のファン・サポーターへあいさつしながら場内を回っている。

 拍手や歓声にまじって、今度は「ノボリコール」が降り注いでくる。15年もの長い時間をかけて、自身が川崎に残したものへの対価といっていい光景。登里は万感の思いで胸を震わせていた。

「自分がフロンターレでやってきたことは、本当に誇らしいものだとあらためて思いました。引き続きフロンターレで還元していく、伝えていくという道もありましたけど、こうして移籍してみて、そういった部分に気がついたというか、そういう経験というものを、自分はセレッソで求められている、と」

 試合を終えた時点で、連続無敗試合を4勝5分けの9戦に伸ばしたセレッソは、勝ちきれない試合が多いものの、首位のFC町田ゼルビアと勝ち点差12ポイントの6位と踏ん張っている。

 対照的に川崎は、ヴィッセル神戸に敗れた第18節以降は5戦連続ドロー。さらに湘南ベルマーレ、サンフレッチェ広島、ジュビロ磐田、そしてセレッソとすべて追いつかれた末に引き分けている。順位も14位にあえぎ、自動降格圏の18位の湘南、19位の京都サンガF.C.との勝ち点差も3ポイントに肉迫されている。

 今シーズンを振り返れば、3分の2を終えようとしている段階で連勝は一度もない。試合中にリードを2点に広げた状況も、最後に2−0で勝利をあげた名古屋グランパスとの第17節から6試合も遠ざかっている。2017シーズン以降で連覇が2度と最強を誇った古巣の現状は、登里の目にどのように映ったのか。

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