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日本代表 3か月前

五輪メダル獲得へのポイントは抑えた。サッカーU-23日本代表がフランスに示した姿勢。防戦一方でも見えた光は【西部の目】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

押し込まれる中でも…。評価できる姿勢とは?


 先制はしたものの、押し込まれる展開は変わらず。個でプレスをはがす能力の高い相手に対しては、選手間の距離を縮めてコンパクトに守るほかない。日本は忠実に、コンディションが厳しい中でもよく走り、組織で守っていた。これも重要な戦い方のベースである。

 後半から木村→西尾隆矢、関根→大畑歩夢、藤尾→細谷真大の交代を行う。予選と同じく、パリ五輪でも総力戦が予想される。後半からの3枚替えは戦術的な意図ではないが、誰が出ても一定のパフォーマンスを維持できるのは予選でも発揮されていたこのチームの長所だ。

 しかし、後半は前半以上に苦戦が続く。攻撃のギアを上げてきた相手に押し込まれ、ほとんどボールに触れない。自陣ペナルティーエリアでようやくボールに触ることができる流れ。それでも、平河のドリブルでの運び出し、藤田のキープからサイドを変えて守備陣に一息つかせる展開があった。

 押し込まれてしまうと、自分たちの陣形は崩れている。守備のためのポジショニングから攻撃のための位置には瞬時に変化はできないので、パスだけでは自陣から出られなくなる。そこでキープして時間を作る、1対1で外して運ぶ作業が必要になるのだが、わずかではあるがそれを見せてくれたのは心強い。

 70分あたりでようやく相手のボールを奪えるようになるが、流れを変えるには至らず、フランスが前線の3人を入れ替えた72分からは再び猛攻にさらされた。

 相手のシュートミスにも助けられ、何とか失点しないで済んでいる。82分のカウンターアタックは最大のピンチだった。GK小久保のファインセーブで難を逃れている。このピンチの伏線は日本の攻撃だった。佐藤恵允の強引な突破からボックス内に人数をかけたため、失った後にもろにカウンターを食らっている。

 ただし、ここという数少ない得点機会に連動して人数をかけたことはポジティブだ。全く積極的な攻撃をしないで相手のミスを待つだけでは、なかなか得点は奪えない。結果的にカウンターを食ったわけだが、勝負どころで点をとりにいった姿勢は評価できる。

 予選からのメンバーがほとんどで戦い方はこなれている。DF陣のスピードに不安はあるが、全体的に接戦に持ち込む力は示していた。コンディションはこれから上がっていくはずで、苦しい状況の中、幸運もあって開催国とドローという結果は悪くない。

(文:西部謙司)

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【了】

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