コロ・ムアニの方が…
エクストラタイムに突入したポルトガル戦では、エンバペは延長戦の途中に自ら交代を申し出てブラッドリー・バルコラと替わっている。前回のユーロのラウンド16のスイス戦では、彼が蹴った最後のPKをセーブされて敗退となったから、本調子でなかった今大会でもPKを蹴りたくなかったのではないか、という憶測もうごめいた。
結局、ベルギー戦での“ほぼ”ゴールも含め、一番ゴールに迫っていたのは、コロ・ムアニだった。彼はPSGでは“失敗移籍”と評価は低く、エンリケ監督からも重用されていなかったが、前回のW杯で自分に白羽の矢を立てたデシャン監督の信頼に報い、5試合で計200分という限られた出場時間ながら結果を出したのだった。
エンバペは前回の2021年のユーロでも無得点に終わっていたから、「僕にはヨーロッパチャンピオンになりたいという野望があった。そしてユーロで良い結果を出したかった」と、スペインに敗れて敗退となった後に心境を吐露していたが、「でもいいプレーができずにそれを逃した。それがフットボールだ。いま必要なのは休養。しっかり休んで、新たな挑戦に臨みたい」と、自分の不調を認めつつ前を向いている。
大エースであるエンバペの不振、グループ内の不協和音に加えて、今大会のフランス代表には、22年のW杯後に生じた、バランスの乱れも感じる。