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海外サッカー 3か月前

“エンバペ中心”でチームに亀裂? フランス代表がユーロ2024で見た現実。正当化されないデシャンの決断【現地発コラム】

シリーズ:コラム text by 小川由紀子 photo by Getty Images

UEFAユーロ2024(EURO2024)最新ニュース

UEFAユーロ2024(EURO2024)に臨んだフランス代表はベスト4で姿を消した。それまで圧倒的な攻撃力でその強さを証明してきたが、今大会では計わずか4得点、それもうち3ゴールがPKとオウンゴールとなるなど、壊滅的な結果に終わっている。優勝候補にも挙げられながら、なぜここまで不振に喘いでしまったのか。(文:小川由紀子【フランス】)

著者プロフィール:小川由紀子

学生時代からブリティッシュロックを愛好し、1992年に渡英。音楽三昧のロンドン生活の傍ら、人々の生活や文化に深く根付いたフットボールに魅せられ、1996年の欧州選手権開催に盛り上がる中、フットボール取材を開始。サッカー界が金満ワールドに染まりきる前の、古き良き時代の最後の名残を慈しむ。その後フランスに渡り、現在はパリを拠点に、フランスリーグを中心とした欧州サッカーやバスケットボール、自転車ロードレースなどの取材、執筆に勤しむ。

準決勝で敗退。得点はたったの…

フランス代表
【写真:Getty Images】

 フランスでは、開幕後もそれほど盛り上がってはいなかったが、準決勝でスペインに敗れて敗退するとさらに下火となり、話題はさっさとティエリ・アンリが率いるオリンピック代表に移っていった。ちなみにアンリは、14日にパリに到着したオリンピック聖火のランナーも務めて、トーチを手に、シャンゼリゼ通りを駆け抜けた。

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 この大会でのフランス代表の戦績をあらためて振り返ると、グループリーグ初戦、オーストリア戦は相手のオウンゴールで1-0の辛勝。2戦目のオランダ戦は0-0、3戦目のポーランド戦も1-1のドロー。得点はキリアン・エンバペのPKだった。

 フランスはグループリーグで1勝2分、それどころか、3試合で2得点(しかも1点はオウンゴール)という寂しい結果ながらオランダに次ぐグループ2位で決勝トーナメントに勝ち進むと、ラウンド16のベルギー戦は、またしても相手のオウンゴールで1-0の勝利。準々決勝のポルトガル戦は延長120分を戦って0-0と不発。PK戦の末に勝ち抜けた。

 ベルギー戦のゴールは、最後に相手の足に当たったとはいえほぼランダル・コロ・ムアニが決めたようなものだが、それ以外は、PKと相手のオウンゴールだけで、フランスは準決勝まで到達してしまった。ある意味すごいことだ。

 初めてゲームの流れの中でゴールが生まれたのは、フランスにとって大会最後の試合となったスペインとの準決勝だった。エンバペの左からのクロスに、パリ・サンジェルマン(PSG)の元チームメイト、コロ・ムアニがヘディングで合わせたが、この先制点もむなしく、16歳のスーパーキッド、ラミン・ヤマルに同点とされ、ダニ・オルモの追加点で万事休す。ここで敗退となった。

 しかしながら、準決勝で敗退、という結果以上にフランスに“ガッカリ感”をもたらしたのは、この得点の乏しさだ。ここ数年のレ・ブルーは、“攻撃力”を売りにしている。それだけに彼らにとって今回のユーロは壊滅的だと言える。

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