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Jリーグ 2か月前

ネルシーニョからの脱却。柏レイソルは“置いてきぼり”から変化している。待ち受ける未来は明るいのか…【戦術分析コラム】

シリーズ:戦術分析コラム text by らいかーると photo by Getty Images

ボール保持に“決まりごと”はあるのか?


 柏レイソルの課題であったボール保持は、興味深い形で行われている。基本配置は【442】とオーソドックスなのだが、選手の動かし方は選手に裁量が与えられている感がある。例えば、「ジエゴを前列に出して【3-2-5】!」なら「チームとしての決まりごとなんですね」、と非常にわかりやすい。

 しかし、柏レイソルの移動にはチームとしても明確な決まりごとがあるようでないように見える。もちろん、繰り返されるお馴染みの動きは存在する。例えば、ジエゴが上がり、マテウス・サヴィオが内側に移動する形は何度も再現されている。

 各々の選手が各々の判断で移動を繰り返す作戦は、カオスなものでもなくネガティブなものでもない。大切なことは移動を繰り返す選手を基準にして、周りに調整できる選手がいるかどうかだ。全員が好き勝手にボールを受けるためだけに移動を繰り返せば、はまれば強いけどはまらないときは永遠にはまらないだろう。

 オフ・ザ・ボールの動きは大きく分けて2種類の目的がある。自分がボールを受けるためと味方にボールを受けさせるための動きだ。ボールを受けるための移動を繰り返す選手たちにボールを受けさせる、プレーをしやすくさせるために動き回れる選手が小屋松知哉と山田雄士だ。

 2人共に守備ではハードワークを持ち味としているが、自分がボールを受けるよりも味方のためにスペースメイクができることがとても大きい。小屋松はサヴィオをフリーにするために相手のセンターバックのピン留めを実行したかと思えば、その位置から裏を狙うことでさらなるスペーシングにチャレンジすることもできる。2トップを活かして中盤に加勢したかと思えば、両サイドに流れることもお手の物だ。

 ジエゴだけでなく、関根大輝が攻撃参加をするなかで、山田の貢献度は高い。自分がボールを持って独力で価値を示すことはあまりしないが、周りの選手を見ながら立ち位置を調整し、周りと繋がりながらボールを円滑に進めることができる。さらに、手前でボールを受けたり、裏に走ることができたりと、チームを地味に支えているのだ。

 そして、細谷もこの役回りをこなすようになってきていることが本人にとっては大きなことだろう。ゴール数が減ったことが話題になっていたが、サイドバックとサイドハーフによるサイド攻撃に3人目として絡むタスク、サイドの枚数が足りなければコンビネーションを実行するサイドタスク、中央でのポストワーク、カウンターの起点と多彩なタスクを担うようになっている。

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