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Jリーグ 3か月前

「明るくやろうかな」セレッソ大阪、西尾隆矢をどん底から救ったものとは?「本当に情けない」アジア杯からパリ五輪へ【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

「自分はサッカーしかない」「サッカーでしか表現できない」


「中国戦の当日は自分自身もショックを受けていたし、みんなに申し訳ない気持ちもすごくありました」

 相手選手の挑発にまんまと乗った、自分自身のうかつさにも腹が立った。西尾は「本当に情けない、という気持ちでいっぱいだった」と川崎戦後に語りながら、直後に心境の変化が生じたとこう続ける。

「次の日からは自分のなかで切り替えていたというか、大会期間中も特にマイナスになるところはなかった。もちろん忘れたわけではないし、自分がやってしまった行為をしっかりと受け止めていました。そのうえでそれを引きずっているようでは、選手としてはやはりダメだと思ったので。自分はサッカーしかない人間ですし、サッカーでしか表現できない人間でもあるので、プレーが悪くなるようでは絶対にダメだ、と」

 U-23代表は5月4日深夜にカタールから帰国し、西尾はリザーブだった同11日のヴィッセル神戸戦をへて、同15日のFC町田ゼルビア戦から先発に復帰した。川崎戦まで10試合連続でセンターバックの一角を務め、町田戦こそ敗れたものの、その後のセレッソは4勝5分けと9戦連続無敗が続いている。

なかなか勝てない一方で負けもしない。川崎戦も36分に先制されながら、その後はチーム一丸となって追加点を許さず、77分に途中出場のFWヴィトール・ブエノが同点ゴールをゲット。そのまま引き分けて勝ち点1を積み重ねた。しぶとさの理由は、無敗を続ける間に複数失点を喫していない守備陣にある。

 そして、鳥海晃司とともに最終ラインをけん引する西尾は、カタールの地で自分自身を見つめ直し、ポジティブな思考回路のもとで発動させてきたリバウンドメンタリティーが力強く脈打っていると明かす。

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