スペイン代表が先制できた理由
前半に機能していたイングランド代表の守備に隙を生み出したのは“予想外の交代”だった。
スペイン代表は前半に今大会のMVPにも輝いたロドリが怪我のためにベンチに下げざる負えなくなり、代わりにマルティン・スビメンディを投入した。これにより布陣を[4-3-3]から[4-2-3-1]へと変更。ロドリのワンアンカーからスビメンディとファビアン・ルイスのダブルボランチへと選手の配置を変えた。
まさに「怪我の功名」とはこのことで、イングランド代表からするとロドリの交代は想定外だった。システムが変わったことで前半は整備されていたプレスの掛け方に混乱が生まれ、後半開始から1分10秒後にマークのズレを突いたスペイン代表が先制に成功した。
このゴールでキーマンとなったのが右SBのダニエル・カルバハルだ。ジュード・ベリンガムが中途半端に前に出ていった背後を取り、ショーの背中を取って内側のレーンに抜け出したヤマルにダイレクトのパスを出した。彼のこのワンプレーでイングランド代表は完全に後手に回り、最後は大外でフリーだったニコ・ウィリアムズに仕留められた。
後半開始直後に失点を喫したイングランド代表だったが、オランダ代表との準決勝で結果を残したオリー・ワトキンスとコール・パーマーを投入し、73分に後者のゴールで同点に追いつく。
イングランド代表はこれまでの試合と同じように試合を振り出しに戻したが、同点に追いついたことによる采配変更で、再びスペイン代表に隙を与えてしまう。