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Jリーグ 2か月前

「みんなすごくうまい。でも…」アルビレックス新潟、小野裕二はまだ「自分を理解してもらっていない」。無得点の苦悩【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

「サガン鳥栖であれだけ点を取れたのは…」

アルビレックス新潟の小野裕二
【写真:Getty Images】



 マリノスを皮切りに、スタンダール・リエージュ、シント=トロイデン、鳥栖、ガンバ大阪とさまざまな環境を渡り歩いてきたプロ14年目のベテランは神妙な面持ちで言う。“刺し切る力”という部分は松橋監督も課題として挙げていた部分である。

「本当にこれは決めてほしい、決めなくてはいけない部分がいくつかあった」と指揮官も苦渋の表情を浮かべたが、絶大な信頼を寄せる小野にはそこを担ってほしいと強く願っているはずだ。

 昨季在籍した伊藤涼太郎(シント=トロイデン)、三戸舜介(スパルタ・ロッテルダム)らフィニッシャーが続々とチームを去った今、最大の得点源は今季7点の谷口という状況だが、それだけでは足りないのも事実。小野がフル稼働できる状態にコンディションを引き上げ、ここ一番で点を取ってくれるようになれば、新潟も松橋監督ももっともっと楽になるだろう。

「昨年、鳥栖であれだけ点を取れたのは、ゴール前に入っていく回数が多かったし、味方が自分の特徴をしっかり理解してくれた部分が大きかった。でも新潟というチームでは完璧に自分を理解してもらっていないと思う。もっと試合に出て、お互いに理解し合うことでつかんでいけるものがあると思います。あと1試合で中断に入りますし、まずは自分のフィットネスを引き上げ、戦術的な部分の理解を深めていかないといけないですね」

 自らに言い聞かせるようにこう語った小野。新たな得点源に関してはクラブ側も夏場に何らかの補強は考えるだろうが、指揮官のサッカー観や哲学をよく分かっているベテランFWの復調はやはり必要不可欠と言っていい。

「口で語るのは簡単ですけど、とにかくピッチでしっかりやるってことが大事。練習からしっかり周りに意思を伝えていきたいですし、90分間折れないメンタルで戦い抜くことが大事。僕を含めて、1人1人が責任感を持ってプレーで表現していくことをよりやっていこうと思います」

 こう語気を強める小野裕二。彼が新潟のJ1残留請負人になれるのか否か。ここからの後半戦が本当の勝負となる。

(取材・文:元川悦子)

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