小井土正亮監督の配慮「この問題は自分が何とかする」
「試合をご覧になった方がどのように感じられたかと思いますが、私としては『正々堂々と、素晴らしい試合をしよう』と声をかけるだけでした。前回の試合後にいろいろな報道などで、私も選手たちのメンタリティーを危惧した時期がありましたけど、学生たちが本当にタフでしたし、動じていない様子があった。なので、今日の試合に向けて特別な何かをするわけでもなく、あえて正々堂々と戦おう、と言うだけでした」
選手たちが動じていなかったのは、実は特別な理由があった。パリ五輪切符を獲得した今春のAFC・U-23アジアカップ カタール2024を含めて大岩ジャパンに招集され続け、町田戦の後半アディショナルタイムには同点ゴールを決めているFW内野航太郎(2年生)は「小井土監督のおかげです」と柏戦後にこう語っている。
「監督からは『この問題は自分が何とかするから、みんなは気にせずサッカーに集中してほしい』といった声がけがありました。監督のいろいろな配慮があって、僕たちはプレーに専念できた。本当に感謝しています」
柏戦では120分間で5枚のイエローカードをもらった。自身も96分に野田へのラフプレーで警告を受けている内野は、試合後に「別に怪我をさせようと思ってやっているわけじゃない」とこう続けている。
「フェアプレーの範囲内でちゃんと球際にいく、というプレーをみんなやっていたと思う」
2年前は横浜F・マリノスユースの最上級生だった内野は、今回の天皇杯を通じてエースの自覚を新たにしている。それは途中出場ながら求められる仕事を完遂した、U-23代表のチームメイトだった細谷との差であり、もっといえばパリ五輪代表に選出された細谷と選外だった自身の差でもあった。
「チャンスがなかったわけではないので、悔しいですけど、それでも後悔はありません。後半に追いついたなかでチームとしての勢いもあったし、自分は延長戦でも足が十分に残っていたので、もっと自分を使ってくれ、といった声がけはしていました。最後までギラギラして、絶対にあきらめない部分は表現できましたけど、最後の質のところでうまくいかなかった。そこをもっと改善して、来年の大会でまたリベンジしたい」
身長186cm体重85kgのサイズを誇る諏訪間は、サヴィオや細谷が投入された後の柏の変化を感じながら、同時に「実際にはこういうものか、というのが肌感覚でわかった部分もある」と前をみすえた。