筑波大が経験した「本当にギリギリの勝負」
「自分は悔しい気持ちの方が強いですね。将来はこういう舞台で、当たり前のように活躍しなきゃいけないと思っているので、その意味でまだまだ足りないと今回の天皇杯を通して、町田戦でも柏戦でも感じました。最後は足がつって、治してもらってもまたつってしまう感じでしたけど、この強度でもばてずに最後までプレーができるように、日頃のトレーニングから意識を高くもってやっていきたい」
試合後の公式会見。先に登壇した筑波大の小井土正亮監督が、万感の思いを込めて試合を振り返った。
「本気で勝ちにいったので、結果に関しては悔しい以外の言葉はありません。それでも戻ってきた選手たちの顔や、ロッカールームでの選手たちの様子を見ると、すべてを出し切れたのも柏さんが本気で戦ってくれたからだし、前回の町田さんも本気で向かってきてくれたからこそ、本当にギリギリの勝負をさせてもらえた。天皇杯という大会は学生に、アマチュアにとっては非常に大きな意義がある。だからこそ彼ら、筑波大の学生たちには、今回の経験が今後にプラスになると期待したい」
ピッチ外の雑音も経験した大会でもあった。6月12日の2回戦。J1首位に立つFC町田ゼルビアと1−1で延長戦にもつれ込む激闘を演じ、それでも決着がつかずに突入したPK戦を4−2で制した。
歴史に残るジャイアントキリングを達成しながら、4人もの負傷退場者を出した町田の黒田剛監督が、敗退後の公式会見で筑波大のプレーの荒さやマナーを公然と非難。ネット上でさまざまな批判が飛び交いはじめ、町田の選手が重傷だったとわかると、誹謗中傷は筑波大の選手たちにも浴びせられはじめた。
柏戦へ向けたチームマネジメントを問われた小井土監督は、静かな口調で答えを紡いでいる。