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Jリーグ 4か月前

筑波大が経験した“非日常”。監督は「この問題は何とかするから」と。町田戦を経て見せた「ギリギリの勝負」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

筑波大学が見せた「一瞬の隙」


 左CKからMF高山優(4年生)が、鋭い弾道のボールを供給する。ニアで競り合った柏のMF熊沢和希、筑波大のFW小林俊瑛(2年生)の頭上を越えて、急降下してきたボールは後方にいた柏のキャプテン、DF古賀太陽にあたってゴールへ。高山のゴールとアナウンスされた直後に、柏のオウンゴールと訂正された。

 そのままもつれ込んだ延長戦で、激闘に終止符を打ったのは細谷だった。右CKからサヴィオが鋭いボールをニアへ放つ。ストーン役の選手2人が必死にジャンプするも届かない。次の瞬間、マークを外し、2人の背後に回り込んだ細谷が完璧なタイミングで宙を舞い、急降下してくるボールに頭をヒットさせた。

 ニアポストを筑波大の選手がカバーしていた状況で、細谷は敵味方を含めて誰もいなかったファーポストへ狙いを定めた。そして、思った通りの強烈な弾道に、筑波大のGK佐藤瑠星(3年生)は一歩も動けなかった。

 2年前もスローインから決勝点となる先制弾を献上していた。今回もセットプレーから決勝点を奪われる展開に、1年生だった前回も出場していたDF諏訪間幸成(3年生)は、思わず唇をかみしめた。

「勝てるチャンスがあったなかで、自分たちはチャンスをものにできなくて、相手は最後にまたセットプレーで1点を取る。2年前もそうですけど、そういうところでプロとの差、というものを感じた、というのが素直な感想です。セットプレーで一瞬の隙を見せたのが僕たちだし、相手の力の方が一枚上でした」

 諏訪間は横浜F・マリノスのアカデミー出身で、2026年春の卒業後に古巣・マリノスへの加入がすでに内定している。延長後半には両足がつり、ピッチ外で治療を受けて復帰した後は最前線に上がってプレー。試合が終わった直後にはピッチ上でうつ伏せになり、悔しさを漂わせた諏訪間が続ける。

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