自国リーグで目立つのは外国人選手ばかり
【写真:Getty Images】
CIES(欧州サッカーの研究機関)の最新のレポートによると、イタリアは、欧州5大リーグの中で、最も自国の選手が少ない。イタリア国内で育った選手がセリエAでプレーした数は、38.7%に過ぎないのだ。今大会、ミランからイタリア代表に選ばれた選手は、一人もいない。グループ最終節のクロアチア戦では、ユベントスの選手の名前が先発メンバーに連ねることもなかった。
前者は、欧州でレアル・マドリードに次ぐタイトル数を誇るクラブだ。後者は、最もスクデットを獲得したクラブである。イタリアの看板でもある2つのクラブに所属する選手が、イタリア代表が戦うピッチにいないのは異常なことである。育成リーグのプリマベーラのカテゴリーを見ても、外国人選手の存在が目を引く。22/23シーズン、レギュラーシーズンとファイナルステージを制し、完全優勝を果たしたのが、レッチェだった。プロビンチャ・クラブの下部組織の偉業は、美談となるべき話だが、実はフィオレンティーナとの決勝で、先発出場した11人も、途中出場した4人も全員が外国人選手だった。育成リーグでさえも、もはやどこの国のリーグかわからなくなってしまっている。
ユーロ2012で準優勝の指揮官、チェーザレ・プランデッリは、監督として、イタリアを最後にワールドカップ(2014)に導いた監督だ。そのプランデッリは、『ガッゼッタ』のインタビューで、”再生計画”を口にした。
「スパレッティが語ったように、若返りを図ることだ。イタリア代表はすでに若い選手が多いから、年齢という意味だけではない。チームのスピリット、頭の中も若返らせなければならないということだ」。
イタリアは、しばしば、若年層から、戦術に縛り付ける傾向にある。プランデッリは、「優れた選手はいるのだから、悲観的になることはないんだ。ただ、若い頃から、ボゼッションや戦術についてばかり考えてはならない。その選手が持つ特徴を伸ばし、闘争心を強くさせていくことが必要だ。若い選手にはもっと自由にプレーさせなければならないんだ」と主張。もっと技術に磨きをかけなければいけないと意見した。
そして、「出場機会に恵まれない若いイタリア人をプレーさせるために、FIGC(イタリア・サッカー連盟)はイタリア代表選抜チームを作り、セリエB、あるいは、セリエCに登録すべきだ。そうすれば、クラブの財産である選手たちの能力を発揮させることができるだろう」と提言している。イタリアでは、実際に、FIPAV(イタリア・バレーボール連盟)によって、若手のイタリア代表選抜チームが作られ、『クラブ・イタリア』の名で活動している。イタリアのバレーは、男子は世界3位、女子は堂々の1位と男女共に世界最高峰の強さを誇る。彼らから学ばない手はないだろう。