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ミハイロ・ペトロヴィッチ体制7年目の今季、北海道コンサドーレ札幌は勝ち点11の最下位に低迷している。同体制1年目に4位に導いた指揮官の戦術は、なぜ機能していないのか。戦術的な問題点を明らかにしつつ、見えてきた改善の兆しにも着目する。(文:Nobuya Akazawa | J1全部見るマン)
「相手を惑わすための可変」北海道コンサドーレ札幌のメカニズム
コンビネーションアタック。オールコートマンツーマン。即興性の高い攻撃で見る者を魅了してきた北海道コンサドーレ札幌だったが、今季は自慢の攻撃力が鳴りを潜めてしまった。理想と現実の狭間で苦しむ札幌について考えていく。
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相手を惑わすための可変。前進して崩しの導入に入っていくために、札幌はビルドアップのところで可変を行っていく。3バックの外側のCB(センターバック)が幅を作り出し、CH(セントラルハーフ)が1枚バックラインに降りる。相棒のCHはアンカーのようになっていくことで、相手のファーストプレスラインの基準をずらす、もしくはセカンドプレスラインの門を広げて縦パスを差し込んで守備ラインを越えていく。
CBが広がっていく事でWB(ウイングバック)はWG(ウイング)のような立ち振る舞いに。中央を消されたとしてもCBとST(セカンドトップ)とWBの三角形を形成しながら前進していく。この際に「CHが降りる」という動きが相手に影響を与えられていれば、安全に進んでいくことができる。
さらにこの可変によって作り出されたズレによってできる数的不利に対し、相手が人数を合わせるためにバックラインから人を押し出してきた場合、札幌は積極的に背後を使っていく。これを見せていく事で、対角のパスの効力が最大限に生かされる、という仕組みになっている。
相手を動かしスペースと時間を得ることができているからこそ、広がった「CBの攻撃参加」が可能になっていく。最終ラインからの攻撃参加は、ボールホルダーにポジティブな影響を与え、相手守備陣を混乱に落とし込むことができる。
これこそがコンビネーションプレーの威力の最大化であり、札幌の攻撃力の高さとも言える。攻撃に厚みを生むことにより、相手を押し下げているので、トランジションでも優位性を保ち、常時攻撃を繰り出すことが可能になる。
攻撃は最大の防御の権化。それが北海道コンサドーレ札幌だ。