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サッカー日本代表の3バックは「ただ選手を入れ替えているだけ」ゲームプランの解像度に疑問【スペイン人指導者の分析】

シリーズ:スペイン人指導者の視点 text by 川原宏樹 photo by Getty Images

「コンビネーションもとても古典的」「その解像度がポイント」

堂安律
【写真:Getty Images】

「システムやポジションを変えて新しいことを試みているようですが、内容を見るかぎり試合の中で行われていることや起こっていることに大きな変化は感じられません。結局は、同じようなボールの動かし方ですし、人の動き方も同様です」

「そして、見出そうとしているコンビネーションもとてもクラシカルなもので、意表を突くようなことを起こせていません。ただ選手だけが入れ替えているだけで、同じことを繰り返しているように思えます」

 そういった取り組みであったとしても、先にアレックスが言及したとおり最終予選は突破できるかもしれない。しかし、現在の日本代表が目標とするところはワールドカップ優勝であり、最低でも8強以上まで勝ち上がることだ。

 そのような勝利のために、ヨーロッパの最前線で戦っている監督たちが実践している一部を解説してくれた。

「ゲームプランをどれだけ細かく設定するか、その解像度がポイントだと思います。たとえば、堂安律を右サイドに置く理由は彼がクラブでそうしているからであって、それ以上でもそれ以下でもないような気がします。おそらく久保建英や他の選手についても同様でしょう」

「ですが、本来は自分たちのチームはどのように人を動かし、どのようにボールを動かすのかを考えながら選手の配置を考えます。仮に、左利きの久保を右サイドに置くとすると、ボールの動きが縦方向が多いのか、横方向が多いのかを考慮します。カットインが多いのであれば同サイドのポケットにスペースが空くので、そこへのパスという選択肢もできます。そうなると、そのスペースを突くのが得意な選手は誰になるだろうかという感じで組み立てていきます」

「他にも、右サイドバックの選手がオーバーラップするとしたら、センターバックやボランチの選手はどうやって守るべきかなど複合的に考えていくのです。どのように人が動くかを考え、その動きが得意なのは誰なのかを見定めてフォーメーションを決めるのですが、決めるに至るまでの思考における解像度が重要だと思います」

 ただ、それはひとつの方法であって、森保監督は別の方法でアプローチして最適解を導く可能性もゼロではないという。この考え方はあくまでもポジショナルサッカーのベースであって、その解像度の高いレンズを持つ指導者が重宝されるが、「森保監督は別のレンズを使った方法かもしれない」とアレックスは評価する。

 アジアカップではロングボールから押し込まれる場面が目立ち、日本代表の弱点としてピックアップされた。最終予選に向けて対策は急務となる。

 そのロングボール対策の進捗について、アレックスはどう見ているのだろうか。

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