「7」を継ぐ者が掲げる新たな目標
「ツグ・ゴー、ツグ・ゴー、ツグ・ゴー・ゴー・ゴー、ツグ・ゴー」
ヒーローインタビューに呼ばれていた関係で、試合後に一人だけで向かった敵地のゴール裏スタンドから響いてきたのは、ベルマーレ平塚時代の1995シーズンから3年半在籍したレジェンド、元日本代表の中田英寿氏のチャント。歌詞内の「ヒデ」を石井の愛称である「ツグ」に変えたニューバージョンだった。
中田氏が平塚時代に愛し、背負い続けた「7番」を、伝説を含めて引き継ぐ存在だとファン・サポーターが認め、数字の「7」をこよなく愛する石井に夢を託した。照れながら一人だけで勝利のダンスを舞い、直後に合唱された「ハッピー・バースデー」には思わず涙腺を決壊させた石井が決意を新たにする。
「オリンピックで言えば4年後のロサンゼルス世代になりますけど、これからの4年間で本当によくも悪くも変わってくるので、しっかりと自分に目を向けてやっていかなければいけない。湘南を引っ張っていける選手になりたいし、もっと違いを出して、もっともっと得点に絡めるような選手になっていきたい」
フォワードに登録され、U-19日本代表にも名を連ねる湘南の至宝は、オフに帰省するときにはより多くのゴールを空から見守る栄子さん、そして親友の墓前に報告したいと新たな目標を掲げる。J1で開花させつつある稀有な得点感覚と、ちょっぴり涙もろいキャラクターを身長170cm体重65kgの体に同居させ、努力は絶対に嘘をつかないと自らに言い聞かせながら、19歳での第一歩を踏み出そうとしている。
(取材・文:藤江直人)