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Jリーグ 3か月前

「夢がかなったよ」石井久継は亡き友の思いも背負って。祖母のいる天国へ届け、湘南ベルマーレでJリーグ初ゴール【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

「いつもギラギラしている」12歳で親元を離れ湘南ベルマーレへ


「ツグ(石井)はいつもギラギラしているし、あまりうまくいかなかった時期もあったはずですけど、それでも居残りながら、毎日のようにあの形を練習していた。僕自身も『最後は絶対にゴールの枠に入れろよ』と言ってきたなかで、シュートを打つ前には『入るかも』といった期待感はありましたね。本当にいいキックをもっているし、ああやって結果につながって、自信を膨らませてもっと成長していってほしい」

 小学生時代は隣接する広島県の福山ローザスセレソンに所属した。自宅から母親が運転する車で約1時間、西へ揺られながら福山市へ。大好きなサッカーに明け暮れた石井は、2017年のダノンネーションズカップ日本予選、そしてU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジでともに得点王を獲得する。

 倉敷市や福山市で神童として注目された石井の稀有な才能に惚れ込み、中学生年代のU-15へスカウトしたのが湘南だった。中学校進学とともにセレッソ大阪のアカデミー入りを考えていた石井は、湘南の映像や実際に練習へ参加して考えをあらためた。今年1月の新体制発表の席では、こんな言葉を残している。

「チームのために、という言葉が最初に出てくる雰囲気を感じました。ボールを失えばみんなで奪い返しにいくところを含めて、チームの全員がすごく楽しんで練習をしていたし、実際に一緒にやってみて自分も楽しかった。ここでサッカーをやりたい、ここでなら成長できると思ってベルマーレを選びました」

 しかし、ひとつだけ問題があった。選手寮などがない関係で、家族の誰かが神奈川県平塚市で一緒に生活しなければいけない。話し合いが重ねられたなかで母親が上京して石井とともに暮らし、父親と当時高校生だった姉が倉敷市で生活を続けた。フジテレビ系の「ミライ☆モンスター」でも紹介され、石井の才能や可能性とともに大きな話題を集めた別れ別れの生活を、感謝の思いを込めながら石井が振り返る。

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