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海外サッカー 4か月前

ドイツ代表はなぜ負けたのか。決定力不足は二の次、スペイン代表を遥かに下回っていたこととは?【ユーロ2024分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

ドイツの守備が苦しかった理由


 1つ目の理由はトニ・クロースの相方となる選手の低調なパフォーマンスだ。先発したエムレ・ジャンは対応で後手を踏み続けて前半で交代。後半開始から入ったロベルト・アンドリッヒも試合に入るのに時間がかかり、出場直後は凡ミスを連発した。失点シーンの場面でも同選手のポジショニングが悪く、下がり過ぎてCBと近い距離に立っている。

 2つ目の理由はイルカイ・ギュンドアンがロドリにマンマークに付いていたことだ。ロドリが低い位置で組み立てに参加すれば、それにギュンドアンがついていくため、ゴール前に戻って守備をするのが遅れる。

 これはギュンドアンが悪いのではなく、チームとしてロドリ対策を敷いたことによる影響であり、本来はダブルボランチでバイタルをカバーしなければいけなかった。トニ・クロースも守備でかなり後手を踏んでおり、それをカバーして欲しかった相方も選手交代があった中でも微妙なパフォーマンスに終わったことで、守備で苦しくなってしまった。

 こうした「守備での隙」は大一番において致命的なものとなる。ドイツ代表としては同点ゴールを決められたダニ・オルモを最後まで捕まえることができず、119分の勝ち越しゴールも彼のクロスから生まれたものだった。

 スペイン代表もウナイ・シモンのパスミスを引っかけて決定機を作られるシーンを筆頭に隙もなかったわけではないが、これはあくまでも個人のミス。ドイツ代表はチームとして守備での隙があり、それを最後まで修正できなかったのが敗因の一つと言えるだろう。

 クラブでの監督時代に「トーナメントで勝てない」と言われ続けたナーゲルスマンは、またしても大一番に勝つことができなかった。

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