勝利したスペイン代表と敗れたドイツ代表にあった差
先述した通り、ドイツ代表は後半の中盤以降からペースを掴んでいた。77分のフュルクルクのポスト直撃のシュートや82分のカイ・ハヴァーツのループシュート、105分+1分のフロリアン・ヴィルツの左足でのシュート、120+4分のフュルクルクのヘッドなど、ゴールまで紙一重の決定機を何度も作り出した。
どれか1つでもネットを揺らせば勝利に近づいた可能性があるため、敗因を「前線の決定力不足」と捉えることができるかもしれない。
しかし、これはあくまでも攻撃陣だけの視点であり、守備陣にフォーカスすると遥かにスペイン代表の方がチームとしてのディフェンスが機能していた。
スペイン代表はグループリーグ初戦のクロアチア代表戦で、何度もCBとボランチの間に生まれるスペース(ライン間)を使われて決定機を作られていたが、ドイツ代表との試合ではこれを修正。中央に人が集まりやすいユリアン・ナーゲルスマン監督の戦術に合わせて、縦と横の距離感をコンパクトにして守り、両チーム合わせて最多となる7つのタックルを成功させたアンカーのロドリのところで何度もボールを奪った。
この守備の形で特筆すべき活躍を披露したのが、ダニエル・カルバハルとマルク・ククレジャの両SBだ。彼らは内を締めつつ、外にボールが出た際もボールホルダーにプレッシャーをかけて対応。前者は試合終了間際に退場、後者は89分の場面でヨシュア・キミッヒに空中戦で競り負けて失点に絡んでしまったが、試合全体でのパフォーマンスは素晴らしかった。
一方のドイツ代表はキックオフ直後から最後まで、ライン間に広いスペースが生まれており、ここを何度もスペイン代表に突かれた。