「プロにもなれていないと思う」不可欠だった存在とは…
大迫、山口という看板選手がゴールし、さらに今冬加入の広瀬も躍動。後ろがガッチリ守り切るというのはまさに理想的な戦いだったと言っていい。内容的にも評価できる勝利を前川は尊敬する父・和也さんにスタジアムで見せることができた。それも感慨深いものがあったに違いない。
「僕がGKを始めた中3の頃、父は(サンフレッチェ常石サッカースクールのコーチで)福山に単身赴任していたんですけど、週2回ある休みを全部、僕の自主練に充ててくれました。父親の存在がなかったら、こうやってプロにもなれていないと思う。しかもいい意味であまり干渉せず、自由にやらせてくれたので、感謝しています」
広島戦後、彼は静かにこう語っていたが、古巣撃破でまた一段、階段を上ることができたのではないだろうか。
町田を捉えつつある神戸が本当にJ1連覇を達成しようと思うなら、まだまだやるべきことは沢山ある。秋からはAFCチャンピオンズリーグエリートも入ってくるため、日程は過密になる一方だ。そういう中でも最後尾に陣取る守護神がどっしりと構え、安定感あるセービングと守りのマネージメントを見せ続ければ、チームは確実に高い目標へと近づいていくはず。
前川黛也は神戸のけん引役として、さらなる成長を続けていくことが肝要だ。
(取材・文:元川悦子)
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