フットボールチャンネル

Jリーグ 3か月前

「お前はプロになれない」前川黛也はサンフレッチェ広島に苦い思い出がある。今につながると父親と過ごした日々【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

「とても難しい」「自分自身にフォーカスして」



「ファーからバーを越えてくるシュートはとても難しい。ボールを運ばれたサイドからボールを振られると、重心を逆に戻すというのはなかなか難しい。自分自身にしっかりフォーカスして防げるようにならないといけない」

 ここから前半終了までは広島ペース。35分のピエロス・ソティリウの決定機、39分の満田誠のミドルシュートなど、広島に2点目が入りそうなシーンもいくつかあったが、前川ら神戸守備陣は冷静に対処。ゴールを割らせず、折り返すことに成功した。

 1-1で迎えた後半。神戸は52分に得た右CKを確実にモノにしてみせる。初瀬亮の蹴ったボールをマテウス・トゥーレルがヘディング。これをピエロスがクリアしたが、扇原貴宏が頭で押し戻し、守備陣の背後に抜け出した広瀬陸斗がピタリと合わせた。これがオフサイドラインに引っかからずにゴールとなり、神戸は非常に大きな2点目をゲット。一気に波に乗ることができたのだ。

 そしてダメを押したのが26分のカウンターからの3点目。大迫→武藤→山口と千両役者の揃い踏みからキャプテンの一撃が決まり、3-1に。待望の勝ち点3をゲットし、上位対決2連勝を果たした神戸は、勝ち点を40の大台に乗せて暫定2位に浮上。昨季王者らしい老獪さと勢いが出てきたのだ。

 守備陣も総失点17というのは町田、ガンバ大阪と並んでリーグ最少。この日も相手に13本のシュートを打たれながら粘り強く跳ね返し続け、新井の1点のみに抑え込んだ。

「得点した後にすぐ失点してしまったのは自分たちの課題ですし、僕は守備の人間なんで改善していかないといけないと思います。でも、こうやって上位のチームに勝てたのは大きい。失点後は集中していたし、逆転されないのが神戸の強さでもありますね。

 特に広島のアウェイっていうのは勝てている印象がずっとなかったので、この勝利は本当に意味あること。今のJ1は実力差がなくて、上と下が分かれているわけもないので、この先も気を抜けないし、目の前の試合をしっかり落とさずやっていくことが重要だと思います」と前川は今一度、気を引き締めた。

1 2 3 4 5

KANZENからのお知らせ

scroll top
error: Content is protected !!