前川黛也が反省したプレー
広島皆実ではケガに苦しむなど、その後も表舞台に出てくるまでに時間を要した。大きく評価されたのは関西大学時代。2017年に神戸入りが決まり、念願のJリーガーとしての第一歩を踏み出した。けれども、神戸にはキム・スンギュや飯倉大樹という実績あるGKがつねにいて、彼がシーズンを通してプレーできたのは昨季が初めて。長い長い年月を経て、悲願のJ1優勝の原動力になるのと同時に日本代表にも定着。彼のキャリアはようやく花開いたのである。
そんな自身の雄姿を地元・広島で家族や友人、関係者に見せられる機会は滅多にない。6月11日のシリア代表戦(FIFAワールドカップ26アジア2次予選)で控えに回ったこともあり、「今回は自分の力で神戸を勝たせるところを多くの人に見てもらいたい」と熱望していたはず。前川率いる神戸守備陣の一挙手一投足には注目が集まった。
早い時間帯に先手を取ったのは神戸。武藤のクロスに大迫が巧みなポジション取りから打点の高いヘッドをお見舞いし、いち早く先制点を挙げることに成功した。
だが、この6分後、神戸は同点に追い付かれてしまう。左サイド・東俊希のクロスに右から新井直人が飛び込み、ループ気味のヘッド。これがネットに吸い込まれ、反応しきれなかった前川は悔しさをにじませながらこう振り返った。