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Jリーグ 3日前

「いったい誰がやるんだ…」小林悠が明かす熱い思い。川崎フロンターレを想うベテランが「力不足」を感じる【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

小林悠に求められた仕事「意思も統一していたんですけど…」


 キャプテンのMF脇坂泰斗が仕掛け、広島のDF塩谷司に阻止されたこぼれ球をペナルティーエリアの外で収めた直後。塩谷とDF中野就斗の寄せが甘いと見るや、迷わずに右足を振り抜いた。

「決まれば、と思いましたけど、とにかくシュートを打つことが何よりも大事だと思っているので。前の試合ではシュートそのものを打てていなかったので、シュートは意識していました」

 小林が振り返った一撃は鮮やかな弧を描きながらゴールの右隅、一番上のスポットへ向けて空間を切り裂いていく。スタンドを沸かせた渾身のコントロールショットはしかし、森保ジャパンに名を連ねる広島の守護神、大迫敬介が繰り出した必死のセービングに阻まれ、右コーナーキックへと変わった。

 湘南戦では1−1の同点に追いつかれた直後に、勝ち越しゴールを託されて送り出されるもそのまま引き分けた。一転して1−0とリードしている状況で投入された広島戦で、小林に求められたものも明確だった。

「やはり2点目だと思うし、2点目を奪えないのであれば、ゼロで抑えなきゃいけない」

 しかし、小林の一撃以降はなかなか決定機を作り出せない。1−0のまま推移した82分に、川崎の鬼木達監督はDF大南拓磨とMF大島僚太を投入。システムを[4−2−3−1]から[3−1−4−2]にスイッチし、3バックでリードを守り切るとともに、チャンスがあれば追加点を狙う戦い方に切り替えた。

「守りを固めて逃げ切ろう、という時間帯でしたけど、どうしても相手に押し込まれる展開になった。ボールを奪っても前線に人がいないので、ちょっと苦し紛れのボールになったところをまた相手に拾われて、というシーンが長く続いてしまった。それでも、みんなで意思も統一していたんですけど…」

 同じく途中出場のFW宮城天と2トップを組んだ小林が、無念さを込めた口調で振り返ったのは88分。左ウイングバックの満田誠が左サイドからカットインし、MFエゼキエウとのワンツーを成功させてさらに中央へ迫った場面だった。ヒールで満田に返したエゼキエウのプレーに、川崎の選手全員が虚を突かれた。

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