言い訳にならない。「自分たちが想定していたよりも…」
「相手の立ち位置とか、動き方とか、ミーティングで相手の分析をした上で、そこを対策するのは当たり前ですけど、自分たちが想定していたよりも相手に握られたし、自分たちがもっとアンカーを消そうと話していたのに、簡単に運ばれたりとか、サイドでプレッシャー行けなかったとか。自分たちの対策を超えられることはあると思うし、自分たちはもっと良い準備をしないといけない」
”昇格組”の磐田としては横内監督も認めるように、常にチャレンジャーとして戦うことになる。その分、うまく対策がハマれば少なくとも接戦に持ち込めるが、ハマらないときに浦和戦のように押し込まれてしまい、攻撃面でも自分たちの良さを出せないというのは現象として起こりうる。しかも、この浦和戦ではボールをうまく動かせない時の頼みの綱である、ロングボールをペイショットとジャーメインに当てて、攻撃を押し上げるという戦法も機能しなかった。
相手センターバックの奮闘に加えて、守備にエネルギーの大半を奪われたボランチやサイドの選手が、2トップと近い距離でサポートできなかった。2失点目はペイショットに当てたセカンドボールを奪われたカウンターだったが、ポゼッションにも少なからず影響していた。
相手のビルドアップに対してプレッシャーがかからず、ほとんど高い位置でボールを奪えなかったことに加えて、攻撃でも自陣からのビルドアップ、2トップを使ったロングボールの両面で主導権を取れなかった。その結果が30%というボール保持率にも表れたのだ。
試合の現象を見れば、磐田の選手たちが浦和の勢いに気押されているかのようにも取れるが、想定を上回ってきた相手に対して、ピッチ内でアジャストしていけない対応幅の狭さを露呈する試合となった。
過密日程の3試合目で、相手の対策に時間をあまり取れなかったこと、大雨により直前の練習が不十分になったことも、試合では言い訳にならない。この浦和戦だけ見れば、磐田がシンプルに攻守で圧倒された試合として認識されるだろうが、改めてJ1のステージでしっかりと戦っていけることは次節の川崎フロンターレ戦で証明していくしかない。
(取材・文:河治良幸)