「なかなか変わらなかった」ジュビロ磐田が機能不全に陥った理由
その一方でボランチの上原力也とレオ・ゴメスはトップ下の武田英寿と左サイドから中に入ってくる渡邊凌磨に引っ張られて、明らかにプレスがハマっていない2トップの守備をコンパクトな距離感で助けることができていなかった。
中央の守備がここまで機能しないと、左右のサイドハーフとサイドバックもズレて、浦和の右サイドで大外に張るオラ・ソルバッケンや左サイドから高い位置を取ってくる大畑歩夢にボールが渡った時の対応も、後手後手になってしまう。
ここまでハマらないと、コンパクトなゾーンをベースとした守備が機能不全になってしまうのは必然だ。浦和のボールホルダーになかなかプレスがかからない状況で、センターバックの鈴木海音とリカルド・グラッサも1トップのブライアン・リンセンをケアする仕事に忙殺されてしまい、1人が前に出て中盤の守備を助けたり、ワイドのカバーに行くような対応を取ることができなかった。
その流れで、前半21分の1失点目はポゼッションで幅広くボールを動かされた流れから、最後は左に回った伊藤敦樹からのクロスを右サイドバックの石原広教に合わされたのは象徴的だった。
鈴木は「前半が終わった時に、もう少し前からプレッシャーをかけようという話が出たんですけど、それでも後半なかなか変わらなかったですし、自分たちがコンパクトにしてというのもなかなかうまく行かなかった」と語る。おそらく前半のポゼッションは20%台だったと想定される。後半は少し回復したように見えるが、それでも追いかける側の攻撃としてはポゼッション率も上がらず、チャンスらしいチャンスもほとんど作れずじまいで、逆にカウンターから追加点を奪われた。
後半7分の2失点目はロングボールをペイショットと相手センターバックの佐藤が競り合ったセカンドボールを石原に拾われたところが起点となった。カウンターから伊藤に背後を取られて、マイナスのボールに走り込む渡邊にフリーで流し込まれた。