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Jリーグ 4日前

「マコのよさは…」スキッベ監督が満田誠にかけた言葉。サンフレッチェ広島で探すスランプ脱却の糸口【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

ここまでのスランプに陥るとは…



「自分のパフォーマンスが落ちて、普通にスタメンから外れて、出場時間が減っていった。その後、(川村らの)移籍などがあって、空いていたポジションをつかみかけるタイミングでこういうゴールという結果を出せた。そこは自分にとってもすごい自信になるので、続けていきたいと思います」と本人も改めて目を輝かせた。

 スキッベ監督体制以降はエース級のアタッカーと位置づけられ、2022年にはEAFF E-1サッカー選手権で日本代表デビューも飾ったが、ここまでのスランプに陥るとは予想していなかっただろう。出られない間、満田は自身としっかり向き合い、状態を引き上げることに注力していた。スキッベ監督からも「考えすぎずに自信を持ってやってほしい。マコのよさは積極的にシュートに行けるところだ」と声をかけられたことで、信頼を実感していたという。

 ここへきて、不慣れな左WBに抜擢されているものの、本人は全ポジションで前向きに取り組もうと意欲を高めている様子。左だとレフティーの東に比べてクロスを入れる形は減ってしまうが、今回のシュート場面のように自ら持ち込んでゴールに迫れる強みがある。そこに磨きをかけて、得点力をアップさせていければ、確かに左でも脅威になれるかもしれない。その伸びしろに期待したいところだ。

 いずれにせよ、満田のようなDF以外の全てをこなせるマルチロールがいることで、今の広島は助かっている。選手層が薄い分、こういった人材を有効活用しながら乗り切っていかなければならないからだ。

 背番号11がここから本来の輝きを取り戻していけば、順位も勝ち点ももっと引き上げられるはず。満田がチームの浮沈を左右するキーマンなのは紛れもない事実と言える。

(取材・文:元川悦子)

著者プロフィール:元川悦子

1967年、長野県生まれ。94年からサッカー取材に携わり、ワールドカップは94年アメリカ大会から2014年ブラジル大会まで6回連続で現地に赴いた。「足で稼ぐ取材」がモットーで、日本代表は練習からコンスタントに追っている。著書に『U-22』(小学館)、『黄金世代』(スキージャーナル)、「いじらない育て方 親とコーチが語る遠藤保仁」(NHK出版)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)などがある。

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